BILLIE ビリーのレビュー・感想・評価
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ダメ、その男、絶対!の繰り返し
凄かった。
『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』と間違えて観始めたのだけど、面白くて最後まで観てしまったよ。
なんという壮絶な人生!!
要所要所で挟まれる当時の黒人差別に怒りを覚えつつ、彼女のどうしようもなく誰かと一緒にいて自分の存在を確認したいという欲望になんかこっちまでおかしくなりそうになった。
才能を支える感性が、現実の彼女の生活面での心の安心感や豊かさをぶっ壊すような男性ばかり選んでいくのがもうなんとも言えない。
ルイ・アームストロングみたいに歌いたいっていうのがものすごく納得だし耳に残った。
この感動を持ったまま、次は『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』を観る!
これは彼女の歌を知る人にとっては衝撃であり、いつまでも残したい宝で有る。
全身全霊で歌う事で社会に抗議
リンダと言う記者が亡くなり膨大なビリーホリディ関係のインタビューが発見された。教師でもあったリンダは記者としても伝記をまとめたりもしていた。
ビリーホリディなる名は有名だが、この映画で初めてビリーホリディの歌を聴いた。すごい歌手として名を馳せたのだが、正直ダイアナロスやロバータフラックの様なインパクトは感じられなかったね。ボルティモアで生まれたビリーホリディは貧乏だった様で、14歳でニューヨークへ出た。人種差別も激しかった様で客は正面から入ってもビリーは裏口だった。黒人歌手が歌えないホテルもあった。全身全霊で歌う事で彼女は社会に抗議したのだった。しかし麻薬にも手を出し警察はビリーホリディ逮捕に向けて努力していた様だ。何度も逮捕されたビリーは心不全のため44歳で亡くなった。偉大な記録映画かと思うが、感動作ではなかったね。劇場で観なくて良かったかも。
レディ・デイとリンダ
関係者が登場して偉人を語るインタビュー映像ばかりな定番のドキュメンタリー映画に飽き始めた昨今、カラー映像で蘇るビリー・ホリデイの歌唱シーンが鮮烈でそんな彼女の生い立ちから生涯の全てに暗い影が幸せの一欠片でさえも望めない、ジャーナリストであるリンダが1960年代から10年間に及ぶビリー・ホリデイに関わる人物にインタビューをした録音テープの音声で構成された本作、ジャズに詳しい訳でもビリー・ホリデイについて無知過ぎるので入り乱れる人物に混乱してしまう複雑さ、これをリンダ自身で世に出せなかった無念と音楽映画として明るくて楽しく鑑賞することは出来ないビリー・ホリデイの生き様に驚くばかりで。
人種差別や薬物依存、ダイナミックに思える男関係や同性愛、付き合う男性からの暴力や虐待に対するあの時代の考え方が今では全く通用しない、少しニーナ・シモンとも似たような境遇で、男から搾取される女の図だけは今も変わらない事柄なのかもしれないが、生きることに不器用すぎて痛々しい。
激しく、あまりに短い人生
誰もが知るjazzシンガー、
ビリー・ホリデイのドキュメンタリー。
独特な歌声が魅力的な彼女の代表曲とも言える
『Strange Fruit(奇妙な果実)』
何気なく聞いていたこの曲に込められた意味を知って
愕然とした。
「私の為に作られた曲です」と感情を押し殺しすように歌い上げる彼女の姿に、震えた。
そして『God Bless The Child』は14歳で家を出る時
母に言われた言葉をそのままタイトルにしたのだそう。
〜神のご加護を受ける子は自分の力で稼ぐ〜
そうしてやがてアメリカ1と言われるjazzシンガーとなったビリー。
けれど、ビリーは黒人だった。
多くの黒人jazz men達がそうであったようにビリーもまた人種差別と薬物との戦いに翻弄される人生だった。
私が知るビリーのポートレートはほっそりとした高齢女性のイメージだったが、なんと、
その姿はふくよかだった彼女が44歳で亡くなる数年前のものだったのだ。
あまりに短く、壮絶な人生。
今作はビリーの伝記の為に10年以上に渡って関係者へのインタビュー取材をしながらも、
突然謎の死を遂げた若きジャーナリスト、リンダが残したテープが発見された事で、
インタビュー音声と実録フィルムを合成して制作されたドキュメンタリー作品。
最後に姉の死に不信感を抱くリンダの妹が語る。
警察は飛び降り自殺と断定したが、
路上で発見された遺体は姉がいつも寝る前にやっていたフェイスマスクをしていた、と。
奔放に激しく生き、歌った、
ビリーの伝記の出版を何者かが阻んでいたのだろうか?
What's True…Nobody khows.
【“二つの奇妙な果実”ビリー・ホリデイの波乱万丈な人生と、彼女の生き様を追っていた女性ジャーナリストの不可解な死をミステリータッチで描いた作品。】
ー 冒頭、若き女性ジャーナリスト、リンダの不可解な死が告げられる。
彼女は、ビリー・ホリデイの多くの関係者にインタビューをしていたのである。
可なり、立ち入った内容まで・・。
今作は、彼女のインタビューの録音テープを再構成して製作されている。ー
◆感想
1.冒頭から、物凄い人数の、ビリー・ホリデイに対する想いが映像もしくはテープで語られる。
2.そこで、語られるのは
・ビリー・ホリデイが13歳の時から、売春していた事。
・異様なほどの、男好き且つレズビアンでもあり、多数の男とフツーに寝ていた事。
・ろくでもない男達との付き合いの中、麻薬に溺れ、麻薬捜査官により、逮捕勾留された事。
・マゾヒストだったらしい事。
ー付き合っていたろくでもない男から、殴られてもその後すぐに体を交えていた事。ー
・精神的に不安定な人間だった事。
□今作では、ゴシップ雑誌のような、真偽不明な事が多数語られる。
だが、今作の重要さは、黒人への人種差別が横行していた時代に、彼女が歌一つで、富を築いた事と
”奇妙な果実”を、ステージで歌い続けた事実である。
彼女が”奇妙な果実”を歌い始めると、白人の客がゾロゾロと、会場を嫌な顔をしながら出て行く姿・・。
彼女が、ステージで”奇妙な果実”を歌うシーンはキチンと、見せて欲しかった。他の曲も・・。
ドキュメンタリー作品として、構成が勿体ないなあ・・、と思った作品。
<それにしても、享年44歳とは、麻薬過剰摂取も原因なのであろうが、早すぎる死である。
彼女も、リンダも”奇妙な果実”として、木に括られた犠牲者であったのであろうか・・。>
<2021年10月10日 刈谷日劇にて鑑賞>
知らなかったビリーがいた
彼女の人生を追った記者の執念に脱帽
ビリー・ホリデイという黒人女性歌手については、数々のアメリカものの本で名前を見てきた(記念切手にもなっている)し、FMで流れた特徴ある声を覚えていたが、どんな人かは本質的には理解していなかった。
彼女の伝記を書こうと8年も取材中だった白人女性ジャーナリストが謎の死の後に残した関係者のインタビュー録音や取材メモで作られた素晴らしいドキュメンタリーで、これまで見たどんな伝記映画よりも素晴らしかった。このジャーナリストは黒人公民権運動を見て、その前の時代に生きていたビリーの伝記を書くことに没頭したようだ。
南部での黒人へのリンチを歌った「奇妙な果実」は初めて聞いたが、凄い曲である。証言も生々しく、黒人差別の実情や、ドラッグとセックス漬けの日々まで明らかにされた、文字通り丸裸の伝記だった。ビリーその人も凄いが、一人の人間の人生にここまで肉薄し、文字通り命がけの取材をした記者の執念に感服した。
ビリーホリディのドキュメンタリーであると同時に、ビリーを10年に渡...
とても良い映画
この作品は、ビリー・ホリデイの伝記ドキュメンタリーであると同時に、この作品の元となった大量の取材テープを残して謎の死を遂げたジャーナリスト、リンダ・リプナック・キュールのその謎の死因に迫り、音楽業界の裏側を告発している。その構成は見事で、ビリー・ホリデイの人間像に迫りながらも、同時にビリーの周辺の人々が彼女の事を語る事で、自らの立場をも赤裸々に白日の元にさらしていく。そういった部分は、まるでミステリー作品を観ているかのようで、2時間全く飽きない。もしジャズに興味があったり、彼女の歌を聞いたことがあるなら、ぜひ劇場へ…。
一人のジャズ・シンガーのドキュメントならず、アメリカの暗黒の音楽史でもある。
*ジャズ・シンガーのドキュメントではあるが、彼女の音楽的な面での事はあまり語られていなかった…と思った。どちらかと言うと、スキャンダラスな面に偏っていたかも知れない。そういう意味では、少し物足りなさがあるかも…。
ファンは十分に楽しめると思います。
ドキュメンタリーと言ってよいのかな?
未公開(かな?)の彼女に近かった関係者のインタビューで構成されたビリーホリデイの生涯をたどる作品です。インタビュアーの不可解な死や、ビリー本人の決してハッピーではない生涯もあり、ダークな印象です。当時のアメリカの国、ショービズ界の闇を見せてくれます。
僕はビリーホリデイについては詳しくないです。wikiで読んだ程度の生涯の情報です。多分知られていた事実に証言が重なっている程度なのかな?と。きっと、良く知った方であれば、あ、あの人が話してる!って盛り上がるのかもしれません。
ただ、全体的に掘り下げ度が少ないかなっておもいました。長年取材をしていたわりには、浅いイメージ。もしかしたら、公にできないことが山ほどあるのかもしれません。取材者が怪しい最後を迎えてるって辺りがきな臭いです。にしても、あまりにも彼女を浮き彫りにできていないかなぁ。人種差別がひどい時期の話が大半なので、この時期に作ったのかな。物足りなかった。
なんか、bsか、csの番組みたいだったな。
けど、JAZZファン、ビリーファンは楽しめるのではないでしょうか?
単なる音楽映画ではない、哀しいパーソナルヒストリーでした。
ビリー・ホリデイのドキュンメタリーであると同時に、その人生の真実に迫ろうとして志半ば、謎の死を遂げた作家リンダ・リプナック・キュールのドキュメンタリーでもあった。(アメリカのちょっといいお家は60年代でも8ミリ映像が結構残っているのだなあと、感心してしまった。)全編、明るいアメリカにおける闇が出ている。録音テープの中で、諸般の事情でお蔵入りになっているものもあるのだろうか、と勘ぐってしまう。
生育歴の最初がそもそも悲惨だったのを知った。彼女は「不幸である時にしか幸せを感じない」運命にあったのだと思う。だからこそ、歌の中の「言葉」が真実として人々に届いたのだろう。偶々天賦の歌の才能があったことで歴史に名を残したけど、同じ時代を生きた無名のビリー・ホリデイたちにも思いを馳せて見た。
個人的体験としては、昨日見た「ビリー・アイリッシュ」(2001年生まれ)との対照がすごかった。
やっぱり音楽映画に外れは無いな。
昨日から角川シネマ有楽町で開催中の「PeterBarakan'sMusicFilmFestival」のプログラム作品。他には、バックコーラスを扱ったドキュメンタリーが面白そう。
直近の米国アカデミーの主演女優賞ノミネート作品『The United States vs. Billie Holiday』も話題となったためか、ほぼ満席だった
使われていたライブ映像は、劇場の大画面であっても申し分ない精細なものだった。ビリーが着ているドレスの色味も堪能できる仕上がり。
何より劇場の音響で再現されるビリーの歌唱がすごくいい。一流の演者による演奏もジャズ好きにはたまらんかも。ライブに飢えている人は駆けつけた方がいい。
プロットは、ビリーのノンフィクションのために取材していたライターが残した音源を基軸にして、過去のヘリテッジ映像を挟みつつビリーの一生を振り返るというもの。
ライターは作品を完成させる前に自殺したとされている。ライターの妹は、男性関係に常に苦しんだビリーと自分の人生とを重ねてしまったのではと語る。人種、性別などの差別の現況と併せて、ビリーの苦悩を100分の映画にまとめた手腕は見事。
「PeterBarakan'sMusicFilmFestival」では、エイミー・ワインハウスの人生を扱った「AMY」も公開される予定。併せて観ると、興行界の有り様を実感できて、より面白いと思います。
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