劇場公開日 2022年2月11日

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「うまくいかないところがリアル」オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0うまくいかないところがリアル

2021年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「オーストリアからオーストラリアへ」という“駄洒落”企画を実現しようとしたが、なかなか上手くいかず、苦闘する2人だけのドキュメンタリー。
自転車ツーリングをやった人間なら分かるはずだが、あの荷物で坂を登るのは至難だが、そういう当たり前の苦労には、何も触れないところが、さわやかで好感がもてる作品である。

最大の目的は“ユーラシア横断”である。
ロシア、カザフスタン、中国の新疆、パキスタン、インド、ネパール、タイ、シンガポール、オーストラリア。
すべて自転車で敢行したいところだったが、膝の炎症やビザの有効期限、入国不可など、トラブルに見舞われ、車や空路での移動を強いられる。
すべて自転車じゃないと不満をもつ向きもあるだろうが、自分はトラブルがむしろリアルで面白かった。

88分で足りるはずはない、というのが観る前の疑問だった。
カザフスタンでのおもてなし、パキスタンでの警察の護衛、インドの混沌、オーストラリアの蚊など、実際、映像として取り上げられるのは、ほんのわずかだ。
最初は明るいトーンで始まるが、疲労とトラブルで、どんどん暗くなっていく。
最後は“仲間割れ”しかけたり、楽しい作品で観て良かったが、1800円払って観る映画ではないかもしれない。

<EUフィルムデーズ(@国立映画アーカイブ)にて鑑賞>

Imperator