「「吟の滴、ふるふるまわりに」。蔵の中、桶の中で酒の神様が謡う姿が目に浮かんでくるようです。」吟ずる者たち もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
「吟の滴、ふるふるまわりに」。蔵の中、桶の中で酒の神様が謡う姿が目に浮かんでくるようです。
新しい事に挑戦するお話 とか
失われそうな伝統を守ろうとする話。
そういったお話が大好きです。
地域発ドラマということもあって鑑賞しました。
舞台は広島。
ヒロインが東京から広島に戻る場面から。
仕事にも彼との関係にも疲れて
東京から広島に戻ったヒロイン。
実家は、日本酒の蔵元。
戻った娘を笑顔で迎える母と祖母。 だが
父は娘の帰宅そっちのけ
他のことが気にかかる。
明治の昔に作成された古い精米機。
それが他の蔵で見つかったのを手に入れたのだ。
「この精米機を、三浦仙三郎も触ったのかもしれん」
「運任せ」 「神任せ」だった酒造り。
三浦仙三郎は研究に研究を重ね、ついには
日本で最初の 「吟醸酒」 を醸しだすことに成功。
その彼が信条としたのが
「百試千改」 ひゃくしせんかい
現代パートでは
三浦仙三郎が造った酒の名前にちなんだ
新しい酒を造ろうとしていたヒロインの父が倒れます。
命は取り留めるものの体が動かない。
父の意志を知ったヒロイン
「父の代わりに酒を造りたい」
やりたいことを最後までやりとげられず
東京から戻ってしまったヒロインの心に灯がともる。
そして…。
とまあこんな風に
明治パートと現代パートを
交互に演じながら話が進んでいきます。
明治の酒造りは、どのように進化したのか
明治の吟醸酒へのオマージュを乗せて
新しい吟醸酒は完成するのか。
◇
観る前に思っていたよりも、ずっと骨太で
しっかりとしたストーリーの物語でした。
特に明治パート。
プロジェクトXですか という構成と内容で
ハラハラドキドキしながら見ました。
観て良かった。満足です。
※美味しい吟醸酒が飲みたくなりました。 くぴ
◇あれこれ
酒造りに挑戦する若き娘の話
ということで真っ先に頭に浮かんだのが
尾瀬あきら作の漫画 「夏子の酒」 です。
TVドラマにもなりました。
兄の遺志を継ぎ、幻の米を復活させ
その米で吟醸酒を造る というお話。
もう一度読み直したくなりました。
広島の酒蔵
パンフレットを購入したのですが
たくさん酒蔵があるのですね へぇ
聞いたことのある銘柄もちらほら。
それにしても広島が
吟醸酒の最初に生まれた土地とは知りませんでした。
何となく
灘とか伏見辺りかな と思ってました。
◇最後に
テーマを絞り込んでいるため
内容が分かり易い作品になっています。
広島が好きな方 もしくは日本酒が好きな方には
楽しめる作品と思います。
観る機会があれば是非。
◇最後の最後に
タイトルに書いた 「吟の滴ふるふる…」
元ネタは、「銀の滴ふるふるまわりに」 (「アイヌ神謡集」 作:知里幸恵)
です。 怒られませんように…(ビビリ)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
今晩は。コメント有難うございます。あと、いつもありがとうございます。もりのいぶきさんの心根の優しき温かきレビューは好きなんです。
今作は劇場で観る予定だったのですが、スケジュールが合わなかったのでフライヤーだけ手元に在りました。(今日、もう一作同じような映画を観ました。)
広島の西条を舞台にした酒造りの映画は「恋のしずく」を見ていたので、今作も面白かったですね。
当方のレビューには書かなかったのですが、私の生業もモノづくりでして、社祖と言われる方は日本の発明王と呼ばれる方です。新人時代に上司に叩き込まれたのが”机上で仕事をするな!現場に行って汗水たらして働く人たちの声を聞いて労働条件を改善しろ!”でして、今でも実践しています。”愚直なまでに、現場の人が働きやすい職場にカイゼンする(含む、人事制度)”が私のモットーです。(その割には偉そうと良く言われるのが、玉に瑕・・。(涙)では。