「いつものそう」スパイラル ソウ オールリセット 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いつものそう
えなんでソウにクリスロック?
甲高い声と腹話術師の人形みたいな顔にトビンベルの声がかぶさるのを想像できなかった。
その違和感に抗することができず、見た。
が、ソウ(のシリーズは)は話が進展していてトビンベルはでてこなかった。
ホラーはたいがい好きだがこのシリーズはそれほどでもない。
ソウってけっきょくのところ選択する装置が過激化するだけじゃなかろうか。手脚指ぜんぶもげるけど生きのびる、とか。顔面剥がれるけど生きのびる、とか。
どっちもぜんぜん嫌なので選択できんわ──というお決まりのコースメニュー。その非情とスプラッターがソウの全要素になっていて、すでに飽和している。
(創始者の)ジェームズワンとリーワネルはとうのむかしにソウを卒業し、いまや最も嘱望される映画監督になっているのだが、シリーズじたいは究極の選択とより凝った装置(という映画アイデアを)なおも繰り返している──という印象を受けた。
ソウには昏睡からのまな板という行程がかならずある。
しかし人間そうやすやす捕らわれ昏睡するもんじゃない。
大の大人がまいどまいど気づいたらがっちがちなデバイスまみれになっているのが、白ける。それ嵌められるまえに気づけよ──って、思う。
すなわち、選択と装置がハイライトになっているため、そこに至る捕縛と昏睡の行程がサラッと楽勝みたいになっているわけ。それがこのシリーズを安っぽくしている。
ちなみに人が非情な装置に嵌められる映画で個人的に好きなのがブラックサイト。ダイアンレインが超かっこよくて、私見ながら彼女の代表作だと思っている。
まな板に乗ってるシーンが枝や副次になっていないとこのアイデアはもうむりな気がした。