モンタナの目撃者のレビュー・感想・評価
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厳しい自然と傷痕とサスペンスの三位一体
これまで「ボーダーライン」や「ウインド・リバー」をはじめとする硬派な手触りの映画で脚本や監督を務めてきたテイラー・シェリダン。今回は原作モノの脚本のリライトに徹するはずだったものの、気がつくとこの内容にのめり込み、自ら率先して監督を引き受けることに。となると、さすがに気迫が違う。目の前には圧倒的な大自然が広がり、人間の法が全く通用しないこの地で、殺し屋たちが執拗に追いかけるサバイバル劇が展開。かと思えば、反対側からは大規模な森林火災が襲いかかってくるという二段構え。いつも心に深く刻まれた傷痕が重要なファクターとなるシェリダン作品だが、アンジー演じる主人公もまた、似たようなトラウマを抱えながら、今では目の前の少年を救うことで過去を乗り越えようと奮闘する。厳しい自然環境と、傷を負った心と体と、目の前の絶体絶命。これらの三位一体は本作でも効果的に機能し、上質のサスペンスを醸成し届けてくれている。
脚本が上手い!
これが100分とは信じられない
3方向から徐々に1つに集まっていく展開も見事、それぞれ決着を付けていくストーリーも見事、アクションも見やすく山火事の怖さも十分、こういうアメリカ映画が見たかったが詰まっている作品でした。
エンタメ作品としても十分楽しめました。
なんつーか、文句無し。
以下蛇足。
殺し屋:
中間管理職感がたまらないですね。
上の意向、下への指示、やれやれ感、でも仕事はできる。
どちら(殺しを指示する側、殺される側)の都合もわかる、わかってしまうが故のやれやれ感。
まさか殺し屋に一番感情移入してしまうとは思いませんでした。
殺し屋部下はいい上司に恵まれました。
最後は酷い死に様まで晒してくれてありがとう。
この殺し屋たちだけで全然映画一作できるでしょう。
そういう贅沢さ、全ての登場人物にこの豊かさがある、がこの映画を名作にしています。
トラウマ抱えた主人公が少年を救う話。トラウマとかがあんまり話で生き...
よかった。 アクションとサバイバルがほぼほぼで、でもその中にちゃん...
大自然
今も変わらず
本筋より脇役のキャラクター設定が非常に生きている作品
何やら大がかりな犯罪組織らしきものに狙われる子供をアンジェリーナ・ジョリー扮するヒロインの森林消防隊員や、周囲の人々が山火事の中を助けるというお話。
ストーリーには特筆すべきものはない。ヒロインの役柄も、過去の山火事で子供たちを見殺しにしてしまった心的外傷を妙に強調するものの、あまり意味があるとは思えない。
しかし、この作品は脇役のキャラクターがとてもいいのである。
とくに生きているのが殺し屋コンビで、ごく普通の実直な会社員のような外見なのに、実はタフで冷酷で頭がよくて決して諦めない真面目な殺し屋ぶりが何とも面白い。
次いで、保安官のその奥さん。保安官は面倒見のいい兄貴タイプで、ヒロインとのやり取りが楽しいし、奥さんは殺し屋相手に逆に手ひどい火傷を負わせたり、馬で追跡して鹿狩り用の銃で一人を仕留めるというのだから、痛快である。
そのほか、保安官の上役らしき人物の朝食、ステーキを細かくナイフで切って食べる仕草も魅力的だ。
本作のセールスポイントは大がかりな山火事シーンで、実際にかなり広い面積に植林して、撮影用の森を作って撮影したそうだ。なかなか大変だったと思うが、さてそこまで苦労した効果はどれほどあったのか、ちょっとクビを捻ってしまう。
自然とサスペンスかな?
山火事の迫力は満点!!
タイトルからサスペンスものかと思ったけど、殺し屋に追いまくられ、死者多数。山火事の怖さだけは伝わってきました。そして、女性もファイティング!!強くなってきたのです。目隠しとして山火事起こした殺し屋は、山火事に泣く。
シンプルでわかりやすい、それだけ
凡庸さがいいのかも、、、??
大雑把にまとめれば、森林火災で自分の判断ミス(だと思ってる)で仲間、被災者を助けられなかったと苦悩しているアンジェリーナ・ジョリーが、とある理由で森を彷徨っていた少年、悪党に付け狙われているんだけど、を助けるという話でした。
で、それ以上でもそれ以下でもないんだよなあ、、、実際。
・アンジェリーナ・ジョリーのアクションが少なめ。もっと暴れて欲しいんだけど物語の構成上、無理かなあ。怪我の治療は男前だった。
・一方、友達なのかな?の妊婦さん、大活躍www
・なんで命を狙われているのか、誰がどんな不正をしているのか不明。物語の主題はそこじゃないので大した問題じゃないかもしれないけれどモヤモヤする/した。
・なんかどデカい不正をやっている組織?みたいだけど、動き方、動かし方がセコいw
森林火災モノならオンリー・ザ・ブレイブがありましたね。
妊婦さんが
木が燃える記憶
目の前で木が燃えるのを見たことがある。まだ小学生の頃だった。冬場で乾燥した空気の中、臨家から発火した火が近くの樹木に燃え移った。最初は静かにくすぶっているだけだが、そのうち、木の油がにじみ出てきたのかぱちぱちという音を立てて、突然、夜空に火焔が吹きあがった。
恐怖、不安もあったが、正直言えば、きれいだと思ったのを覚えている。自分の家には飛び火せず、比較的早めに鎮火した。その後、子供の耳にも、隣の家の人が自分で火をつけたのではないかという噂が出回った。真実かどうかは知らないが、その人たちは町を去った。
大スキャンダルを暴露しようとした父親が暗殺者に殺害され、寸前のところで難を逃れた少年を、前の山火事で風の行方を読み違えて、救えたはずの少年の命を見殺しにしたトラウマに悩む女性森林消防隊メンバーが追ってから逃げるという話である。
当然、どこかで聞いたような物語である。
映画には二種類あるのだろう。
一つ目は、なじみ深い物語の繭の中に見る物を包み込んでくれる映画。
二つ目は、衝撃的なショットで映画とは何か存在とは何かを揺るがしてくれる映画。
当然この映画は1つ目である。ただ繭の中に包み込んで欲しいとはいえ、包み込まれ過ぎては息苦しくてつまらなくなる。鑑賞者の欲求とは自分勝手なものである。
僕は、繭に包まれたい映画鑑賞者だ。蓮實重彦の本は読むけれど、蓮實重彦の推奨する映画を楽しめたことがない。
でも、やはり繭にも裂け目が必要だ。
この映画の裂け目は、燃え盛る山火事のシーンだった。ショット的に優れていたかどうかを判断できる能力もないし、その気もない。
ただ山火事の場面の中で、僕は、子供の頃に聴いた木の燃える音を明確に再体験した。
その意味では、僕の繭は少しだけ破れ過去へと遡及したようだ。
その意味では見る価値はある映画だった。
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