「派手さはないが、ざわざわする作品」隠り沼 あーにーさんの映画レビュー(感想・評価)
派手さはないが、ざわざわする作品
舞台は長野の山間の小さな町かな。
ごく普通の田舎街に暮らす人々は、多分、皆が知り合いで、
良くも悪くも日本の田舎らしい、人間関係が濃い世界なのだと思う。
ヒロインは他所から嫁いできたが、肝心の夫が行方不明になり、
夫の弟と二人ぐらししながら、町の小さな整体院に勤めている。
その行方不明の夫をめぐり、登場人物たちの想いや行動が錯綜するストーリーなのだけれど、テレビドラマのような明快なサスペンスドラマとも違う。
不思議で、時折意味不明で、歯痒さすら覚える登場人物たちのあり方は、でもきっと現実はこんなものかもしれないと感じさせる。
映像は光と影のコントラストが綺麗で、思い返すとモノトーンの映画を見ているような気にもなる。
沼の色のせいだろうか。
ハリウッド映画のような派手さはないし、流行りの日本映画のようなシンプルさもない
だから、受け身で観るとつまらないのだけれど、
かと言って、登場人物一人ひとりの気持ちや、印象に残るモチーフについて、
いろいろ意味を求め、理解したつもりになったとしても、
それ自体が奢りなのかなもしれない、と思わされる作品
面白いか面白くないかで言えば、面白いです。
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