「派手さはないが、ざわざわする作品」隠り沼 あーにーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0派手さはないが、ざわざわする作品

2021年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

舞台は長野の山間の小さな町かな。

ごく普通の田舎街に暮らす人々は、多分、皆が知り合いで、
良くも悪くも日本の田舎らしい、人間関係が濃い世界なのだと思う。

ヒロインは他所から嫁いできたが、肝心の夫が行方不明になり、
夫の弟と二人ぐらししながら、町の小さな整体院に勤めている。

その行方不明の夫をめぐり、登場人物たちの想いや行動が錯綜するストーリーなのだけれど、テレビドラマのような明快なサスペンスドラマとも違う。

不思議で、時折意味不明で、歯痒さすら覚える登場人物たちのあり方は、でもきっと現実はこんなものかもしれないと感じさせる。

映像は光と影のコントラストが綺麗で、思い返すとモノトーンの映画を見ているような気にもなる。
沼の色のせいだろうか。

ハリウッド映画のような派手さはないし、流行りの日本映画のようなシンプルさもない
だから、受け身で観るとつまらないのだけれど、
かと言って、登場人物一人ひとりの気持ちや、印象に残るモチーフについて、
いろいろ意味を求め、理解したつもりになったとしても、
それ自体が奢りなのかなもしれない、と思わされる作品

面白いか面白くないかで言えば、面白いです。

あーにー