「現実を超越した世界観に胃もたれ気味」アントマン&ワスプ クアントマニア てらゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
現実を超越した世界観に胃もたれ気味
まさにフェーズ5の幕開けという作品でした。
征服者カーンの脅威性を知らしめることに映画の大部分を使っており、今回のカーンは辛くして撃破したものの、不穏な気配たっぷりで爽快感はあまり無い。
これからとんでもないことが起きるんだという印象を与えるための映画だと感じました。
ドクターストレンジMoMの時から、多元宇宙やらなんやらで世界観が複雑化しており、設定を把握するのに精一杯になっているMCU。
それでもドクターストレンジMoMは、マルチバースという設定を巧みに使い、ストレンジが自分を省みるきっかけ作りになるなど秀逸な作品でした。
ただ本作は、量子世界という設定が更に乗っかるなどよりややこしく、特に前半は理解を追いつかせるのに精一杯な感じです。
登場するキャラクター達も統一感が無く、もはや何でもありな感じになってしまっており、テーマ性もブレてしまぅてる印象を受けました。
一方で、アントマンはずっと家族愛をテーマにしてきた作品ですので、今回もそこは良かったなと思います。
娘のために全力を尽くすスコットと、そんなスコットを見て育った真っ直ぐなキャシーの思いが物語の軸となっていました。
また、今回は負けてしまいましたが、じっくり描いたこともありカーンの底知れなさは表現できていたのではないでしょうか。
Nextサノスのポジションになるキャラですから、心の奥に渦巻く世界への復讐心だったり、マルチバースを行き来して手に入れた未知の技術だったり、十分にゾッとするものを感じさせてくれたと思います。
(最後のコスプレ祭りはなんかチープすぎてもうちょっと何とかならなかったのかと思いますが、、、)
しかしMCUは今マルチバース、神々の世界、水中世界、量子世界と続いており、壮大すぎる世界観にちょっと過食気味です。
久しぶりに現実世界を舞台にした作品を見て感情移入したい思いもありますね。