劇場公開日 2023年11月10日

「取り残されてもそれなりに楽しめた」マーベルズ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5取り残されてもそれなりに楽しめた

2023年11月12日
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鑑賞方法:映画館

「ハリウッド映画の終焉」(集英社新書)という本を読んだのだが、その中で「スーパーヒーロー映画がもたらした荒廃」という章がある。#MeToo運動とコロナ禍がマーベルの映画にどのような影響を与えたのかという内容。ディズニーの傘下に入ったマーベルが、Disney+でドラマを連発させることで映画についていけなくなる観客を多数生んでしまうのではないかということが書いてあった。Disney+が中国では観られないので大きな市場である中国のファンがいつかハリウッド映画を観られるようになったときついていけなくなって離れてしまうのでは?という懸念だった。
本作を観てこの本の内容を思い出してしまった。マーベルの映画はほとんど観てきているのに、ドラマを観ていないためについていけない部分があるのだ。そうだよな、自分も取り残されている側なんだよなと実感した。しかも、ポリコレ問題も深化(主人公が女性で人種も多様)させているし、世代交代や代替りの問題も受け入れていかなければならない。この「マーベルズ」は、そんなことを観客に突きつける映画だ。私達はこれからもこんな感じで映画作っていくけど、どうする?ついてくる?と。
今まで、細かいところも理解した上で、そんな展開がくる!?とかあのセリフの重み!とか感じていたが、そんな細かいところはスルーしてなんとなく理解すればいいかと割り切るのか。それともディズニーの思惑通り、Disney+に課金し多大な時間をかけてドラマも追い続けていくのか。いや、まだ結論は出ない。何かの決断をしなければ前者の道を選ぶしかないのだが。
本作は、3人の入れ替わりの戦闘シーンや、猫たちの大量発生はかっこよくて笑えるものだった。それなりに楽しめたのも確かなんだよな。今後の展開の方向性も悪くないし。それだけに迷ってしまう。

kenshuchu