「ガイ・リッチーとステイサム、久々タッグにしては物足りない」キャッシュトラック 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
ガイ・リッチーとステイサム、久々タッグにしては物足りない
ガイ・リッチー監督の今年5月公開作「ジェントルメン」は自身のオリジナル脚本で、やりたいことを目一杯やった集大成的な内容が最高だ。ジェイソン・ステイサムと16年ぶりのタッグとなる「キャッシュトラック」も当然楽しみにしていたが、やや期待外れだった。
原作は2003年の仏映画「ブルー・レクイエム」(かなり前にWOWOWで観た気がする)で、フィルムノワールの伝統を感じさせる暗めのストーリーだ。主人公Hを演じるステイサムはもちろんアクションもこなすのだが、無双っぷりで観客を楽しませるというよりは、ある目的のためにストイックに行動するのが基本で、彼の大半の主演作やリッチー監督作の多くに比べて娯楽要素が少ない。なぜ監督がこの原作でステイサムと再タッグしようと思ったのか、正直よくわからない。
思えば前のタッグ作「リボルバー」も、騙しの要素を何重にも組み入れた少々難解な話で、痛快アクションというわけではなかった。リッチーの初監督作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」でステイサムも俳優デビューを果たしており、いわば盟友の2人は、今更ありきたりなB級アクションはやりたくないのかも。2人のタッグの次があるなら、今度はオリジナル脚本で、舞台もロンドンでぜひお願いしたい。
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