「小説を読んだ。」キャッシュトラック じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
小説を読んだ。
かっこいいハ○ジェイソン・ステイサム主演のクライムムービーの後味は実に複雑だ。
Hと呼ばれる主人公ヒルは、現金輸送車の社員として就職するが、訳がありそうだ。しかも、章題は「悪霊」?
鍵を握るのは冒頭の事件のようだが、この段階では分からない。
「悪霊」の意味がわかった時、次の「虱潰し」の中で語られるのは、ギャングのボスに起きた悲劇とその解決方法。実に凄惨でクソ野郎だ。その結果、どうやら内通者を探すために身分を隠してこの会社に潜り込んだことが分かる。
一方、目的の襲撃グループは傭兵上がりのギャングらしい。実に周到で手際がいい。ついにブラックフライデーの襲撃を計画するが・・・。
主人公はクソ野郎です。でも、人並み以上に強い家族の情愛を持っています。だから、動機は理解できます。
これが普通の人だったら、この成り行きはわかる。これがジョン・ウィックのように裏社会の中での話ならある意味痛快である。
でも中間の話だから複雑だ。
最後の章「肝臓、脾臓、肺臓そして心臓」こりゃまた?
謎は最後に全て回収される。
でも、失われたものは帰ってこない。この辺が、重い後味になっているんだと思う。原題は「Wrath of Man」は“人間の怒り”、まだ、下敷きにした「ブルーレクイエム」の方があってる感じ。「キャッシュトラック」は軽いなあ。
さて、映画としてはよくまとまっていて破綻がない。やや冗長な007よりもスピーディーでセリフ回しもキレがある。得意の体術で意味もなく戦うよりも銃で解決するあたり現代的だと思う。ある意味小説を読んでいるような後味だ。21ブリッジのような佳作と言っていい。むやみにグロいシーンもなくその辺も小説的。
ところで、この映画には女性はほとんど出てこない。色気ZERO(笑)
映画館でふりかえってみると、こちらも色気ZERO。平日ということもあっておっちゃんばっかり(自分もだ)アクション映画の常だけど・・・ねえ。( ̄▽ ̄;)