劇場公開日 2022年7月8日

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「普通だと描かれないけれど視点の特異な映画」こちらあみ子 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5普通だと描かれないけれど視点の特異な映画

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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琥珀糖
R41さんのコメント
2024年6月25日

いつもコメントありがとうございます。
さて、この作品は本当に難しさが残ります。
その要因は、そのまま、あみ子をそのまま描いているからかもしれません。
作家は良く彼女と同化できたと思います。
その作為のなさと言動、あみ子に関わる人はみな、心の奥底であみ子の言動を正しいとか自然とか感じているのと同時に、社会的観点という共同生活がダメと通告する概念のはざまで悩んでいるようにも感じます。
あみ子に関わると叱られるのは、その純粋な思いに同意しつつ社会通念上のNGになるからでしょう。
あみ子は常に「その」外にいますが、その他の皆は「なか」にいます。
あみ子を幼い時から見てきた少年は、その中間あたりにいるのでしょう。「気持ち悪い」理由を口に出しません。言えないのは、少年の持つ純真さからでしょう。
作品はすべてあみ子の視点です。そこにジャッジはありません。ただ彼女がそうしたいからして、その結果大切なものを一つ一つうしなっていくのです。
それでも彼女はそんなことにはめげないのです。
「大丈夫じゃ!」
彼女のまま、そのまま生きていくのでしょう。
この言葉の持つ意味は深く、考えると泣けてきます。
その涙の理由は自分でもよくわかりません。

R41