「「どうせ低予算映画だろw」となめてかかっていた以前の自分に無数の銃弾と蹴りをぶち込みたくなる一作。」ベイビーわるきゅーれ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「どうせ低予算映画だろw」となめてかかっていた以前の自分に無数の銃弾と蹴りをぶち込みたくなる一作。
「内容軽そうだなぁ、低予算映画っぽいけど、貧相な映像なのかなぁ(失礼)」と鑑賞前はあまり期待していませんでした。しかしそんな腑抜けた心持ちは上映開始5分で早々に打ち砕かれました。約一時間半にわたる迫力溢れる立ち回りと軽妙な暴力描写、そして生々さすら感じる生活感など、完全に打ちのめされました。これはすごい作品です(小学生以下にはとても見せられないけど)。
世界観としては『ジョン・ウィック』(2014)に近く、殺人稼業が普通の仕事として成り立っている日本社会が舞台となっています。物語は組織に雇われた殺し屋として依頼を淡々とこなすちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)の日常を追っていきます。面白いのは彼女らはプロの殺し屋なのに、世間的には一般市民を装うために(なぜ?)、バイトしなければならないという点です。そこでなかなか職場の人間関係になじめず孤立するなど、二十歳前後という彼女らの悩みや奮闘が浮かび上がってきます(殺人は平然とこなすのに!)彼女らが直面する仕事に対する悩みは、実は多くの人が抱えているであろう苦悩と共通しているところが多く、それゆえに尋常じゃない挌闘技術とガンアクション、そして倫理観の欠如に呆然としつつ、でも「彼女らと自分たちは心情的に繋がっている」という共感をもたらします。
本作の撮影のために、主演の髙石あかりと伊澤彩織をはじめとした俳優陣は尋常じゃない訓練に取り組んだようで、特に伊澤彩織は現役のスタント俳優としての能力を最大限に発揮しています。
本作のアクション監督は倉田アクションクラブにも所属していた園村健介が務めているとのこと。日本のアクションシーンとしては、まさにきら星のような人材が集っていた作品だったですね。「ショボそう」とかちらっとでも思ってすみませんでした!と心からお詫びしたいです。