「凸凹ハマる殺し屋コメディ!2枚の展開が見せる本格派」ベイビーわるきゅーれ たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
凸凹ハマる殺し屋コメディ!2枚の展開が見せる本格派
あんなにユルくて強かったら、誰だってイチコロ!今年トップクラスの映画。偏愛が入ってるのは承知としても、あの塩梅が最高すぎて、何度笑って驚かされたことか…。上映前の舞台挨拶付き。折り込みながら書いていく。
『ある用務員』は未見だが、そのJKコンビが凄いことは聞いていた。特にスタントウーマンでもある井澤彩織さんが凄いと。そんな阪元裕吾監督が描くのは、社会に適合しようと奮起する異色の青春モノ。確かに殺し屋と言えば、復讐の為に手を汚しがちのイメージ。そのステレオタイプをぶっ壊しつつ、キレキレのアクションとユルーい会話劇で作品を丹念に作っていく。
やっぱり面白いのは2人のダラーっとした会話。監督も「殺し屋でもなかなか取り上げない部分をあえて多く入れた」と言うが、それがめちゃくちゃ面白い。壊れた洗濯機に当たったり、ただゲームと動画を貪ったり、チャリで現場まで向かったり…。あんまり見ないし見たくないような所ばかり。しかし、この2人なら見れちゃう。寧ろギャップとキャラで納得できる。キャラを重視したからこそ写るモノが堪らない。そういう意味では、観たあと高石あかりさん演じるちさとが可愛く見えた。かまちょでテンションハイだけどしっかり者なのがいい。井澤彩織さん演じるまひろのボケっとしてるけど強い、凸凹ががっちりハマる感覚が堪らなく愛しい。そこを楽しんでほしい。浜岡家他のキャラもかなり強くて何度も笑ってしまった。
そうでありながら、アクションが超一流なのが本作の最大のポイント。基本は笑えるプロットなのだが、スイッチが入ると別物の映画を観ているかの画が広がる。その直後に素に戻ったりするギャップがまたいい塩梅で効いている。スタントはアドリブも織り交ぜながら作られているそうで、実際に当たっていることもあるとか。観ていても心配になるくらいの本格アクションが、作品そのもののポテンシャルを格段に上げている。社会と殺しと奮闘する姿に感服。まさしく、新しい感覚のする映画。
さっそく円盤を購入したいと思えるくらい好きな映画。メイドやジャージなんかが似合う殺し屋なんていただろうか。こだわり抜かれた本作、期待以上の傑作だった。