「掛け合わせの妙を超えた化学反応」サイコ・ゴアマン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
掛け合わせの妙を超えた化学反応
なんだこりゃ!と久々に声を上げて笑ってしまった。地獄の使者のごとき異星人が残虐の限りを尽くす、かと思いきや、ワンパクな子供達との出会いによって立場が逆転。すっかり主導権を握られ、ブツブツ文句を言いながら彼らに付き従うことになる。しまいには「サイコ・ゴアマン、略してPG」という名までつけられ・・・。目を見張るのはなんと言っても造形美術だ。CG全盛のこの時代に徹底して着ぐるみ造形にこだわり、特殊メイクで表現されるゴアな血みどろぶりにも深い愛がいっぱい。その上、PGだけだとグロいスプラッター物に特化しそうなところを、子供たちを絡ませることでPGが恐ろしければ恐ろしいほどフリとなって、丁寧かつ粋のいいコメディの形が生まれていく。対極にあるものの掛け合わせはある種の定番セオリーとは言え、両者の相性の良さには眼からうろこだ。80年代テイストも懐かしく、この時代を知る世代にはたまらないものがあるのでは。
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