「ブラックミュージックパワーに圧倒」サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラックミュージックパワーに圧倒
ウッドストック、そしてアポロの月面着陸の裏で、このような巨大フェスが開かれていたことは全く知らなかった。
モータウン、ソウル、ブルース、ゴスペル、ジャズ、アフロ、ラテンと、ブラックミュージックのあらゆるジャンルの超一流ミュージシャンによる圧巻のパフォーマンスと観衆の反応のパワーに圧倒される。
フィフスディメンションやグラディスナイトが「あのステージに立ったことで、黒人であることに自信や勇気を持てた」といったことを語っていたが、そうした感覚は他の出演者や観衆も共有していたのだろう。
洋楽ファンとして名前は知っているものの、ちゃんと聴いたことのなかったアーチストのパフォーマンスが観られたのも良かった。特に、スライ&ファミリーストーン!人種・性別混合のバンドとは知らなかった。その後のプリンスへの影響もわかるし、今だからこそ彼らの先進性がよく理解できる。
当時ハーレムでは麻薬汚染が深刻化していて、黒人の若者たちを慰撫する場を設けることが、このフェスの一つの目的だったようだが、お蔵入りになっていたこれだけの映像記録が発掘され、50年経って観られたことで、現在の視点からの歴史の読み直しと、意義の再発見が可能になったと思う。
ビートルズのルーフトップコンサートもそうだが、まだまだ貴重なお宝がどこかに眠っているのではと期待してしまう。
それにしても、当時の観客の黒人はみんなオシャレでカッコいいね。
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