「二回見た困惑と興奮についてダラダラ書きます(長文注意)(映画とゲーム本編2部6章までのネタバレ注意)」Fate/Grand Order 終局特異点 冠位時間神殿ソロモン SQaSeさんの映画レビュー(感想・評価)
二回見た困惑と興奮についてダラダラ書きます(長文注意)(映画とゲーム本編2部6章までのネタバレ注意)
初レビューです。ガチはまりしたFGO自体始めて半年も経たないうちに好きな一部の終章が映画化されると聞いてそれは大興奮でした。ストーリー、作画、カメラワーク、bgmとサウンドエフェクトどれをとっても中々高いレベルでしたけど、公開前日にチケット予約して3時間ほどしか眠れず朝一番映画館の前で待って一回目を見たせいか、興奮しすぎて疲れてしまいほとんど喋らないサーヴァント達にかなり困惑しました。特に最初のほうでアレキサンダー、サンソン、そしてヴラド3世(ランサー)のセリフ付き宝具解放の活躍があったからか、同じようなものが続くことを期待してしまい、その後7つの特異点で助けてくれたサーヴァントたちの無口ぶりがより目立ってしまいかなり辟易しました。さらにジャンヌの名セリフのところのbgmが変わってしまった事、ゲーティアの独白と会話延々と続きかなり尺を占めたところ、など自分の期待から逸れたものはそこそこがあって、途中から少し冷めたネガティブな態度で「ひょっとしたら失敗なのではないか?」などと考えながら最後まで見たけど、それでもドクター、マシュ、立香とゲーティアの問答にはなんとなく心を震わせるものを感じ、Eternity Blueが流れた後少し残念だという思いと「まあ全体的にみれば結構良かったじゃない」という思いが混ざってモヤモヤしながら映画館を後にしました。その時は結構悪い点が目に入ってきてたので星3つが最高評価でした。
しかし再びゲームに戻って2部を進めていくうちに後とある盲点に気づきました。自分は恐らく立ち絵がほとんど出で来ないせいか藤丸立香というキャラを無意識にゲームをプレイしている自分に同一化してしまったところがあり、第一人称を使うゲームの特性上立香というアバターは透明化して見えなくなっていたところがあったのは恐らくしょうがないことであるが、自分ははまりすぎて早く進めすぎたせいかそれを気にする暇なく単に勢いに任せて楽しんでしまったのです。だから自分を藤丸立香と分けて彼のストーリーをちゃんと見なくてはいけないとそう感じてしまったのです。2部5章のアフロディーテの精神攻撃、そして失意の庭での藤丸の心理的な葛藤や苦痛の描写は彼/彼女を自分のアバターとしてではなく、ストーリーの登場人物として見直すいい機会でした。話を少しずらすと7章のアニメでもメディアの特性を生かして彼を視聴者の目に届く一人のキャラとして書こうとしたけど、自分はサーヴァント中心に見ていたし、所々ストーリーの核心からずれて捻じ曲げてまで無理に彼を描こうとする努力が垣間見えてかなり違和感があるものでしたので、牛若丸やエレキシュガルとの会話など彼の人柄と英霊を理解する努力みたいなシーン良かったものの、結果的に原因の説明を省いて何故か叫んでいるシーンばかり印象に残ったのでそこは常にもう「少しだけ尺があればなあ~」高い評価はできませんでした。
そして5週目に入って映画で見る最後のチャンスだということで今度は単純にサーヴァントの活躍ではなく、藤丸立香とマシュ、ロマニーとゲーティアを主人公に据えた物語として見返した所確かにストーリーはそれに沿った展開を最大限生かそうとしていたし、一時間半程でよくまとめた作りで感心しました。それでも前述のような問題は気になるし、評価は上がっても星一つです。
尺の制限もあって一気に駆け抜けてしまい細かい描写を切り捨て疾走感溢れる映画ですが、カルデアの主人公達の奮闘をかなりよく描いていますが、サーヴァントの戦いの描写にもう少し時間を割ければより自分的にはより完璧でした。でもそうした場合ストーリーの重心が傾けるかもしれません。ファン向けの映画ですが恐らくファン同士でもかなり見方の路線の違いがあるので評価が二極化してしまうのは仕方ないことですし、無言のサーヴァントたちはそれだけ心を通じ合わせていると思ってみればまあ悪くはないと受け入れることもできますが、どうしてもできないという方もいるでしょう。最高だというのは嘘じゃないかと思いますけど安定して評価できる点(作画など)があること、万人が絶対におかしさや違和感を感じる描写やストーリーのねじれがないことで全体としてはよく出来てると思います。