「水の中では最強だね、ハルちゃん」劇場版 Free! the Final Stroke 後編 @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)
水の中では最強だね、ハルちゃん
劇場公開されたことが何より嬉しかった。
京都アニメーションのアニメに出会って、人と関わる大切さや人を許して受け入れる自己コントロール力の大切さに気づけた。
作品と一緒に自分も大人になっていった。
当時はまだBLや同性愛が認められず、腐女子という言葉もオタク文化の一端でしかなかった。
男同士がイチャイチャする作品なんて、キモヲタしか相手にしないという偏見も少なからずあった。
そんな時代に生まれた作品だからこそ、登場人物の名前がみんな女の子のような名前だったのが嬉しかった。
「マコちゃんが好き、可愛いの!」
「遥先輩、本当に好き」
「凛ちゃーん」
と教室で盛り上がっていても違和感がない。神様のような公式の配慮だなと思った。
それから時は流れて、いよいよ物語は最終回を迎えた。
制作会社が犯罪に巻き込まれ、スタッフや作品に関わった多くの方々の尊い命が失われた。
絶望と悲しみで打ちひしがれていたが、公式がFreeの劇場版を公開することを発表し、作品を愛する方々の尽力で完結を迎えることができた。
作品を愛するみんなの思いや絆が生み出した奇跡だと思う。
前編で引き裂いてしまった凛や仲間達との繋がりを遥がどうやって受け止め、自分の未来を選択していくのかという今作。
開始5分で初代主題歌が流れてから号泣が止まらず、客席ではハンカチ必須の幕開けとなった。
京アニの良いところは、敵キャラとして登場したキャラクターでも最後は味方と言うか、憎めないライバルのような関係にしてくれるところ。
同じ土俵で戦う相手に敬意を持ってキャラクターを描くところが、登場人物が増えても楽しめる魅力の一つだ。
今作では、全てのキャラクターがそれぞれの思いをそれぞれの方法で伝えていくことができた。
愛想が悪いと評判の宗介が遥を気遣ったり、天邪鬼凛ちゃんが自分の気持ちをストレートに言葉にしていたり、今までのいろいろなエピソードがあって、ぶつかり合って分かり合えたから素直になれたんだという心理描写が胸に刺さった。
言葉ではなく、最後まで水の中で分かり合う演出も素晴らしかった。
「遥ちゃんと一緒に泳げば、分かるよ」
と渚がずっと言っていたけれど、freeを愛した全てのファンも遥ちゃんと一緒に泳いでいたのかも知れない。
本当に、今まで見たことない景色をたくさん見させてくれた遥ちゃんに感謝しかない。
自分のメンタルを見つめ直し、仲間の存在と自分の思いを受け止められるようになった遥ちゃん。
作品の後半戦はいよいよ大舞台で泳ぐ。
もうね、心も体も限界まですり減らしているのが分かる。遥ちゃんを支えて寄り添う周りの仲間達が熱い。
水の中では一人だと言うけど、仲間の思いも背負って泳げるようになった遥ちゃんの泳ぎは過去1番だった。
個人戦で泳ぐのではなく、最後はフリーで締めくくるのも最高に良かった。
やっぱり絆と成長を描く作品だからこそ、思いを繋ぐメドレーリレーが1番の盛り上がりだった。
繋げ!繋げ!繋がれ!と劇場の観客が一体となり、固唾を飲んで応援していた。
9年という長い期間、水泳の魅力を教えてくれてありがとう。
仲間や家族、自分が生きている環境が当たり前のものじゃなくて、誰かが支えてくれているから生きていけるんだってことに気づかせてくれてありがとう。
自分が選んだ決断を悔いることなく、真剣に今を生きようと鼓舞してくれてありがとう。
青春多感な時期に人を踏み躙らない、優しいアニメに出会えて本当に幸せでした。
間違いなく、私を形作ったアニメ作品の一つです。
堂々の完結‼︎
本当にありがとうございました‼︎