「アカデミー賞俳優ニコラス・ケイジ俳優人生40年の集大成。」ウィリーズ・ワンダーランド レントさんの映画レビュー(感想・評価)
アカデミー賞俳優ニコラス・ケイジ俳優人生40年の集大成。
映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラを叔父にもち、自身も「リービングラスベガス」で第68回アカデミー賞を受賞したハリウッドきっての名俳優ニコラス・ケイジが着ぐるみロボットたちと戦う。
着ぐるみと言ってもハリウッドのSFX技術の粋を集めたアニマトロニクスによって動くこの着ぐるみたちはまるで人間が中に入っているかのような自然な動きを見せてくれる。
「蜂だあ、蜂はやめてくれえ。」ウィッカーマンで記憶に残る名演技を見せてきたニコラス・ケイジ。今回、彼は新境地を見せてくれる。ニコラス演じる男は今回一切セリフがない。俺の演技力をもってすればセリフなど不要だと言わんばかりに表情やしぐさだけで複雑な人間心理を表現して見せている点はさすがだ。この主人公の男が今までどのような人生をたどり、どのように年齢を重ねてきたのかを観客に想像させるほどの繊細な演技が光る。
「コン・エアー」や「フェイスオフ」でも見せた圧巻のアクションも健在だ。全編弛緩しまくったアクションシーンは新鮮で見る者の睡魔を誘うほどに度肝を抜く。
物語も斬新だ。伝説のシリアルキラーたちの霊がとりついた着ぐるみたちが人々を襲うこの忌まわしきテーマパークは街の人間たちによって封印されていた。流れ者たちを生贄にすることで長年街は守られてきたのだ。
そこにまた一人流れ者の男が現れる。彼もまた生贄として着ぐるみたちに捧げられるはずだった。しかし彼は今までの生贄たちとは違い襲い掛かる着ぐるみたちを容赦なく倒していく。街ぐるみでも倒せなかった着ぐるみたちは物理的に破壊できるようだ。特に自然修復能力もない。なぜ今まで彼らを街の人間が倒せなかったのか不思議なくらいだが、恐らくニコラス演じる男には超自然的な能力が備わっているのかもしれない。
正義感で施設を破壊しに来た若者たちは次々と殺されてゆく。危険な殺人着ぐるみに襲われるかもしれないのになぜかカップルは欲情して行為に及びます。仕方ありません、生き物は命の危険が迫ると子孫を残そうとしますから、彼らの行為もごく自然な行為なのです。
着ぐるみたちをすべて始末した男は修理された車に乗り込み、風のように去ってゆく。彼のおかげで街は平和を取り戻した。彼こそ名もなきヒーローなのだ。
鑑賞中はついつい一時停止をしたくなるくらい凄惨な残虐シーンを見せられ、退屈で、もとい恐怖で集中力を維持するのが辛くなる。恐怖映画としてもアクション映画としても現在のハリウッド映画を牽引するような作品と言えるだろう。