「足をひたすら怪我する主人公」イン・ジ・アース Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0足をひたすら怪我する主人公

2023年10月6日
Androidアプリから投稿

菌床というのは不思議なもので、地中間で繋がり、1つの生物としてひっそりと暮らしている。我々が食べるキノコ類も菌類なのだが、発生理由等は見てみるとかなり不思議だ。本作は「地中のネットワーク」とも呼ばれる菌床を調査に来た主人公らが恐怖の体験をするのだが、抽象的な表現が非常に多く、「だから何が言いたいの?」とツッコミを入れたくなること必至の作品である。
森の精霊など分かり易いものが出てきてくれるのならまだしも、登場人物らが"それ"と表現するものに魅入られた人々が狂気と化して襲って来るため、何がどのようにしてこうなったという理由が分かりにくいのである。また、故意によるものなのかは分からないが、登場人物らの顔がそれぞれ似ているのである。森の自然光を利用したシーンで暗いところが多く、余計に混乱が生じてしまう。その中で印象に残るものが、何故かパックリと切ったり、麻酔無しで縫ったかと思えば斧で先端を切り落としたりと散々な目に遭う主人公の足が終始気になって仕方ない事だ。美しい自然の描写とは打って変わり、グロテスクな表現がある所も人によっては気を付けなければならないだろう。

本作の良いところは他作品には無い独特の世界観である。閉ざされた森と、得体の知れない"それ"の描写、アーティスティックな映像表現が相まって気付けば最後までのめり込んでしまった。恐らくこれが普通に町中での出来事であればもっと退屈していたかも知れない。
本編で終始登場する謎の映像表現と、呼吸をしているかのような大地の「声」。これで理解出来た人はもしかしたら導かれているのかも知れない。

Mina