劇場公開日 2021年10月8日

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「静かに響く良作。」草の響き はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5静かに響く良作。

2021年12月7日
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鑑賞方法:映画館

心を病み運動療法を勧められて以来狂ったように走り続ける和雄。夫の心の回復を粘り強く待つ内に自らの心も疲弊してゆく純子。2人が唯一本音を打ち明けられる和雄の旧友研二。

そして和雄と偶然知り合う若者達。バスケ部内でいじめに遇うスケボーが上手い彰。不登校で金髪の高校生弘斗。弘斗の姉でよからぬ噂がある恵美。誰もが外からは見えない傷を抱えている。ひたすらに走るその姿は力強くさえあった。2つの物語が絶妙な距離で交差します。それは昔の自分であり、大人になった自分の姿。

簡単に戻ってくれない壊れた心。自分自身をコントロールできない不甲斐なさ、もどかしさ、そしていつまでこの状態が続くのかという恐怖。生きなくてはと思う反面、心の片隅にある死に対する憧憬。見事に和雄の繊細さを演じきった東出昌大が素晴らしかった。

ある出来事をきっかけにまた堕ちてしまう和雄。そして純子。どうしてこうなってしまったのか。2人の未来にどんな答えがあるのか。それは観る側に委ねられる。私にはジーンと響くシーンが多かった。めちゃめちゃ良作です。ニコもかわいかった。

はるたろう
こころさんのコメント
2021年12月8日

はるたろうさん
コメントへの返信有難うございます。
そうですよね。苦しみながらも、その日その日を精一杯生きようとする姿がリアルでした。

こころ
こころさんのコメント
2021年12月7日

はるたろうさん
自身でさえどうにもならない苦しみ、手を差し伸べているのに伝わり切れないもどかしさ、心に響く作品でした。

こころ