「東出昌大という役者」草の響き TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
東出昌大という役者
東出くん、決して器用な役者ではないと思います。ともすれば「下手うま」な感じすらするのですが、要するにどこかしら掴んで離さない「味」が、演じるキャラクターに巧くハマるともうこの役は東出くん以外考えられないと思わせるのです。
その「味」を言語化するならば「得体の知れなさ」「得も言われぬ不穏さ」「奥に潜んだ狂気のようなもの」と言った感じで、今までも『寄生獣(14)』『散歩する侵略者(17)』『寝ても覚めても(18)』『スパイの妻 劇場版(20)』『BLUE ブルー(21)』などなど、いずれも「初めの印象を裏切る」や「不安定な様子」のキャラクターがキャスティングされることが多い印象があります。
今作の工藤和雄という役にも絶妙な感じで、むしろどこまでが役作りか判らなくなるくらい。和雄の妻である純子役の奈緒さんの「無言の表情演技」がまた秀逸だったこともあり、非常に居心地の悪い雰囲気がとても良かったです。
もう一方の高校生パートの方が比較してどうしても弱くなり、全体的には「もう一歩」と感じましたが、佐藤泰志原作に対する期待へのハードルが高かった分を差し引けば、それなりに評価できる作品だと思います。
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