劇場公開日 2021年9月23日

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「裁判に勝っても気持ちは晴れぬ」MINAMATA ミナマタ redirさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5裁判に勝っても気持ちは晴れぬ

2023年9月16日
iPhoneアプリから投稿

ジョニーデップの気合いを感じる。
トモコのお風呂の写真は初めてみたとき衝撃であった。
ハリウッド映画で水俣病をここまで詳らかに撮ってくれたことへの感謝と感動しかない。
素敵なアメリカの表現者たち、音楽や新聞や雑誌を作る華やかな始まりから、日本の中でもとびきり美しいランドスケープだがとびきり質素な生活をする水俣の集落での苛立ち、出会い、闘い。
ユージーンも妥協しない、水俣の人々も妥協しない。
トモコのお風呂の写真を撮影するシーンは静寂で尊厳に満ちている。誰もが彼の写真集を手にした時トモコの写真に惹かれる、美しいトモコに震える、そのことを映画にした、できたことがとにかく凄い。
黒旗むしろ旗で闘う水俣の姿が、しっかり取られているのもよい。日本の俳優たちもみな真に迫る演技。
然れども、
裁判に勝っても気持ち晴れぬのだ。当時もそれでも大きな変化も望む言葉もなかったし、今もなお。失われた海も命も集落も元には戻らない。

アメリカさんがこのような映画を撮ってくれるなんてね。

redir