「MINAMATAミナマタ」MINAMATA ミナマタ レモンジャックさんの映画レビュー(感想・評価)
MINAMATAミナマタ
写真を趣味としている私にとってユージン・スミスは例えばロバート・キャパのように偉大な存在です。当然、入浴する母子の作品やアイリーンの存在も知っており、映画化を知ったときは驚きと楽しみでいっぱいでした。自分は映画ファンというほどではないので、こんなに集中して鑑賞したのも、胸がいっぱいになったのも久しぶりです。
暗室作業のシーンで、現像液を手で撹拌していたのが印象的でした。
実は、アイリーンとは、30年近く前ですが、とある活動の場面で同席し食事をしたことがあるのです。その時に彼女のニコンF2フォトミックがユージンのものかどうか尋ねました。アイリーンは「ユージンのものではないが彼も使ったことがある」というので、触らせてもらいました。その時の感触は今も残っています。劇中、アイリーンが住民が集めてくれたカメラの中から自分用として手にしたカメラもニコンF2フォトミックだったように見えました。
そんなことを思い出しながら本当に集中して感動して鑑賞しました。
この映画は環境問題の映画というよりはユージンという人間のドラマのような気がします。
しかし、日本映画でも環境問題を真正面から取り上げればそこには必ず人間ドラマが付随すると思います。
この映画を通して、環境問題により関心を持っていただきたいのはもちろんですが、フィルムで撮るカメラにも興味を持つ方が増えることを期待します。