劇場公開日 2021年9月23日

  • 予告編を見る

「社会派ガチガチでちょっと退屈な映画かと思いきや!」MINAMATA ミナマタ ぴーちぱいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0社会派ガチガチでちょっと退屈な映画かと思いきや!

2021年10月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

全然違いました。観てよかったです。

セリフ少なめで、ビジュアルに訴える場面が多く、泣きました。
そして、あのはちゃけた海賊だったジョニー・デップが、今ではこんなに熟成されているなんて!
デップのチャーミングなところは残しつつ、見事に繊細で優しい人ユージン・スミスを演じきっていました。

戦後、経済発展を急ぐ日本の陰で、そのために命や人生を踏みにじられた人々がどれほど家族で支え合い、そのことを訴え、闘ってきたか…
胸に迫りました。
でも、そのことを世界に伝えてくれた写真家がいたことは初めて知りました。
徐々に住人に溶け込み、自らも暴力に傷つきながら、人生最後の仕事として、命をかけて水俣の事実を写真に込めてくれたユージン・スミス。
やり遂げてくれてありがとう。

人は全力疾走しているときには、踏みつけてしまったものの存在に気付けないかもしれない。
でも、過ちに気付いたときに立ち止まり、次にどう行動するかが何より大切だと思いました。
人間の手によって、失われていい命なんてこの世界に存在しないはず。
それなのに、現在もまだ水俣病はじめ、環境汚染が原因で苦しむ人達がいる。
そんな現実にも、改めて気づかされました。

ラストに流れた坂本龍一の音楽がまたしみるー
しばしの放心状態となりました

ぴーちぱい