「歴史を噛む」MINAMATA ミナマタ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史を噛む
水俣病は、歴史の授業内で何度も聞き、その度にどのような症状が出るのかということは学んできました。ただ、深いところまでは学んでいなかったので、今作はとてもタメになりました。
今作の主人公ユージン・スミスは1人のカメラマンですが、酒に溺れ、かつて所属していたライフ社とも揉めており、死を考えるほどになっていました。現実のジョニー・デップもここまでとは言いませんがゴタゴタしているので、かなりリンクしていてナイス配役だなと思いました。
今作はなんと言っても、病と同じくらい病に苦しんだ人やその家族について強く描いています。特にユージンかま撮影した写真、風呂場で母親と娘がもつれ合っている写真、観賞後に実際の写真を確認しましたが、衝撃的なものでした。他にも目が左右に寄れている子供や、指の関節がままならない人など、見ていて辛い、けど背いてはいけない現実を目の当たりにしました。
ユージンも最初は水俣や土地についても無関心でしたが、段々と人の優しさに触れ、協力的になっていくのも、ユージンが元々持っていた優しさと辛抱強さが垣間見える瞬間でした。
訴訟も無事に勝訴し、一件落着とは思いましたが、エンドロールで流れた根本的な金銭問題などはまだ解決していないということです。安倍元総理の発言もピックアップされ、65年続いてもなお、闘いの歴史は続いているということを痛感しました。
とても難しい内容のはずですが、そこまで気負いする事なく観れました。日本のことなのにまだ分かっていないことも多い、色々と調べてみようと思いました。
鑑賞日 9/26
鑑賞時間 13:55〜16:00
座席 G-2