靴ひものロンドのレビュー・感想・評価
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良い意味予告編に騙された
浮気をして家族から愛想を尽かされ別居、子供との触れ合いを通じて絆を取り戻す、的なストーリーを勝手に想像していたけれど、全くの別物!
痛快ではないがシニカルな展開の連続で、エンディングは予想外だった。
ただ、途中唐突にシーンが切り替わり「この人誰?」と戸惑うのだけれど、その後回想シーンやら何やらで回収され、なるほどね~と理解できる構成がなかなか見事だと思う。
それにしても思うのは、浮気や夫婦別居だけでは子供はネジ曲がらないけれど親の愛が感じられなかったり恨みつらみの感情が子供に伝わるのだろうな。
ラストは因果応報で皮肉な笑いが浮かぶし、途中の宅配女子のシーンが効果的!
見応えのある一作でした。
よその家族のことは笑える
構成が自分好みで面白かった。時間軸を動かすと同時に各シーンでのメイン役も換えている。そのメイン役が女性(ヴァンダ、リディア、アンナ)の時、彼女たちは思いを語り感情をガンガン出す。一方で男(アルド)は「知らない、わからない」と言いつつ言わなくてよかったことを言う。それも「語る」でなくて単に「描写」。責任も感情もない。年とってから初めて感情丸出しで叫んだけど写真の件でとっちらかっただけだろう。あの秘密箱、箱根の寄せ木細工みたいだった。そしてポラロイドカメラ!「鍵」(市川崑監督)でも活躍してたなあ。
アンナの言葉「母親みたいになりたくない」、父親の恋人を美しく素敵だと思いそっちの方に行きたいとおもった気持ち、とてもよくわかる。そういう感覚がイタリアにもあるんだと新鮮だった。ロルヴァケル出演の映画はまだ数本見たに過ぎないが、この作品の彼女は華があってヘアメイクも服も靴も美しくエキセントリックでしつこい役が素晴らしかった。いい女優であることを実感!
イタリア映画が好きな方はぜひ。いろいろな工夫が。
今年263本目(合計539本目/今月(2022年9月度)6本目)。
「シネマカフェ」さまのご厚意で1週間前倒しでオンライン試写会に当選しました。
よってネタバレになりうる記述や採点対象は一切はずします。
※ 原題の Lacci はイタリア語で「ひも」という名詞であるようです。
日本ではまだまだ珍しいイタリア映画。ある家族の「崩壊」(「再生」ではない)を描くので、どうしても趣旨的には暗めになってしまいます。
ただ、ストーリーを支えるのがこの映画の描写の工夫で、ちらっと出る猫(けっこう可愛い)のほか、イタリアといえばファッション、いろいろな色使いが映画内で色いっぱいに出ます。
もともと原作小説がある(ここの紹介参照)以上、ストーリーにはそう必要があるため、展開の暗さは仕方がないにしても、イタリア映画という工夫でその「暗さ」を十分にカバーした印象です。
イタリア映画ですが、イタリア文化に関する深い知識は要求されないです(セリフは全部イタリア語ですが、日本語の字幕はちゃんと出ますし、日本語も変ではない)。
「靴ひも」とあり、オープニング直後、靴ひもはちらっと出ます。「靴ひも」に着目した映画というのも珍しいですが(ただし、原作小説は「靴ひも」)、この「靴ひも」が何を意味するかは、映画を最後まで見るとわかります。
一般指定なので不穏当な描写はないし、PG12かなぁという点も一切ないところです。家族そろってイタリア映画好きというご家庭は少ないと思いますが、当該週迷ったら推せる一作です。
採点対象にあたっては減点対象にする点がなにもなく、「ややわかりにくいかな…」という点はあるにせよ、どうしてもイタリア映画はマイナーな存在で日本では文化の浸透度が低い現状、映画だけにその責任を問うのはどうかとは思いますので、減点なしにしています。
(ぼやき) 大阪市には、特にフランス・イタリア映画を多く流す「テアトル梅田」という映画館があるのですが、今月末(9月末)をもって閉館になります。大阪市で「フランス・イタリア映画を見たい」と思ったらここだったので、日本第二の都市という大阪市で、10月以降にフランス・イタリア映画がどうなるのか…は気になるところです。
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