「自分ごと 他人ごと」東京自転車節 OakTomさんの映画レビュー(感想・評価)
自分ごと 他人ごと
セルフドキュメンタリーとして、自分自身がUber EATSの配達員として自転車で走り回る映画。
根底には、奨学金という名の借金返済と、新型コロナの影響で、地元山梨県では稼げない、ということがあったらしい。
Uber EATSの配達員の〈労働条件〉などの〈労働問題〉をえぐり出すことをしていない。(垣間見ることはできる)
〈使い捨ての労働者〉という側面もあるなーと頭では理解していても、「だから、どうなんだ」という、どこか他人ごとのように感じている部分も映し出されている(と、ボクは思った)
奨学金(という名の借金)を20代の青年に背負わせているという現状を告発しているわけでもない。
どこか他人ごとのように思いながら、とにかく日銭を稼いで、食べていかなきゃならない。
そんな様子を淡々と映し出す。
稼がなきゃ行けないのに、サボってしまったり、奨学金を返済しなきゃ行けないのに、お金があると、つい使ってしまう。
そんな人間の弱さみたいな部分も隠さずに映し出していた。
(おそらく)いつの間にか、他人ごとのように考えていたものが、自分ごとになっていき、「どうやら自分だけで解決できる課題ではないぞ」という思いが、ラストシーンへこめられている、とボクは思った。
青年・青柳拓さんはきっと優しい青年なのだろうなあ。
おばあちゃんに心配させまいとウソをついたり、家に泊めてくれた友人から追い出されたわけではないのに、自分から気をつかって出ていったり。
〈うれい(憂い)〉を知っている人だけが、きっと〈優しさ〉を身につけるんだろう。
その優しさが強さにつながって、クエストを達成させたのかもしれない。
そんなことを思った映画でした。
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