「冷めて内省的な変身ヒーローに、半世紀の隔たりを思う」シン・仮面ライダー 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
冷めて内省的な変身ヒーローに、半世紀の隔たりを思う
小学生の頃はテレビ放送の「仮面ライダー」人気が結構大きくて、変身ポーズやライダーキックを皆で真似したり、サイクロン号の人気に便乗?して売り出された電子フラッシャー(電池で光る方向指示器)付きの自転車を比較的裕福な家の子が買ってもらって羨ましがられたりしたことを覚えている。本作の本郷猛はなぜ変身ポーズをとらないのかと鑑賞中は疑問だったが、あとでWikipediaの「仮面ライダー」の項を見たら一文字隼人が登場してから変身ポーズが導入されたと書いてあった。そのあたりもオリジナルのシリーズに忠実だったかと感心した。
脚本・監督を庵野秀明が務めたことも大きいのかもしれないが、池松壮亮が演じる本郷猛は、オリジナルの藤岡弘が演じたキャラクターよりも冷めていて内省的な印象で、高度経済成長期の昭和と震災やコロナ禍を経た令和5年の今、半世紀分の隔たりが反映されてもいるのだろう。柄本佑が演じる一文字隼人の軽妙なノリ、SNS風に「いいね」とサムアップさせるあたりも憎いアップデートだ。
本作、スクリーンでの試写はパスしてしまい配信での視聴となったが、テレビ画面サイズで観るのも悪くないスケール感かなと思う。子供の頃にテレビで元のシリーズを観ていたことが刷り込まれているのかもしれないが。
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