劇場公開日 2023年3月17日

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「ラスボスはやっぱり「タイガー・ザ・グレート」で、シメは「君膵」」シン・仮面ライダー アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ラスボスはやっぱり「タイガー・ザ・グレート」で、シメは「君膵」

2023年4月2日
iPhoneアプリから投稿

ラスボスはやっぱり「タイガー・ザ・グレート」ならぬ「ライダー・ザ・グレート」みたいなイチロー=01+イナズマン的描写のライダー0号でしたね(笑)。
シルバー基調の、抑えめなカラーリングのデザイン見て「あぁ…」って感じにすぐにピンときた感じ。

昭和ヒーロー系譜をかなり熟知していないと結びつかないところですが、庵野氏の「どこまで分かった?」的な遊び心なんだろうなと。

作品の全般については、正直部分ごとに色々と思うところは有りました。
しかし、そうした(作品評価自体も)賛否に分かれることは、当然、想定済みでしょう。
全員の願望や要求を満たすことなど、元から不可能。

でもやっぱりこの方の、「紆余曲折の末の長年の願望の果てに、ついに辿り着いた本丸」への“作品愛”が炸裂している事は確かに受け止めました。
それを祝福したい気持ちです。

それに、それだけじゃなく、自分的にも漫画、TV版ともリアル・タイム世代としては、石ノ森版連載時に騒然となった「13人の仮面ライダー」編の実写再現と、そのラストの「これからは、おれたちはもうひとりぼっちじゃない!、いつも二人だ….」の台詞を聞かせてもらっただけで感無量で、感涙してしまった。

エンディングの「ロンリー・ライダー」で更に追い討ちをかけられて困りました…..

私にはそれだけで、もう充分なくらいです。
流石です、庵野さんありがとう。

蛇足ながら、気づいた事と、上記の補完的に一応、以下に書いておきます。

内容的には先述の「おれたちはもうひとりぼっちじゃない!」の台詞について、本作の本郷=コミュ症という設定により、原作とは別の意味も込めて成立させてるところ、いいかもなぁ、と。
で、そこまでの流れの直前の時点での緑川 ルリ子の残したメッセージとの対話部分って「君膵」になってますよね、完璧に?
だって、やってるのが同じ浜辺美波だもんね?どう考えたって…….、分かりましたか?

さながら「シン君膵ハードバージョン」或いは、「仮面ライダー版・君膵」といった趣向でしょうか?(笑)

それから、個人的にはあの蝙蝠男って、まるで「秘密結社鷹の爪」に出てくるモリタを連想させる雰囲気感じて、なんだか苦笑しちゃいましたが……

あと、取り敢えずは、仮面ライダー(1号)、「タイガーマスク」(東映アニメ版)が企画立ち上げ時のベースにされた実写版作品という経緯については、当然ながら庵野氏が外す訳がないと思います。

原作者違うじゃん的に思われがちでしょうが、東映作品は基本的にメディアミックス手法であって、実際には漫画版=原作は言いきれず、あくまでも「東映作品」ワールドな括りですから。

実際、両作品は音楽担当が同じ菊池俊輔氏で、劇中曲(BGM)の雰囲気も可成近い(似ている)のも、偶然では無いように思います。

アニメ「タイガーマスク」→実写「仮面ライダー」〜アニメ「デビルマン」など、『組織(悪に生まれて)を抜けて1人でかつての同胞たちに孤独な戦いを挑む』が同じ(ベース)になってるなどの共通点。

横山光輝「ジャイアント・ロボ(大元は同氏の「鉄人28号」)」→永井豪「マジンガーZ」〜石ノ森「大鉄人17」とかも、取り敢えず「悪に生まれて(或いは関わり的に)」じゃ無いとダメなようです(笑)。
漫画版「仮面ライダー」や「009」などのストーリーからしても、目的意識(野望)がハッキリとしている陰謀組織の方が資金的に潤沢だから、という図式が納得できますもんね。

あと他にも、横山「魔法使いサリー」→魔女っ子シリーズ、横山「仮面の忍者赤影」→石ノ森「ゴレンジャー」〜戦隊ヒーローシリーズ=レッドがリーダーのカラー戦隊などですかね。

特に横山光輝作品から、「悪に生まれた鹵獲兵器」的な設定は日本に漫画、アニメ、ヒーロー作品ではお家芸的になっていると思います。

「鉄人28号」がその始まりと認識していますが、原作がそのような設定だったのに対し、TVアニメ版はスポンサーの意向や子供への分かりやすさから、主人公の父親である博士が作ったように改変されてます。
その設定を再現して登場させ、人気ライバルキャラとなったのがやや自立航行型の「ブラック・オックス」で主人公らが鉄人とペアを組んで戦わせる鹵獲ロボットとの設定に、当時の子供達を狂喜乱舞な状態になりました。
その他、「ターミネーター」のスカイネットの機械(電子頭脳)による人類への機械軍団の反乱、という設定を超先取りしている鉄人の「ロビー編」も、先述の「ブラック・オックス」の大活躍も相まって、漫画誌に残る凄い作品と捉えられるように思われますが…..

アンディ・ロビンソン