劇場公開日 2023年3月17日

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「ストーリーも格闘シーンもイマイチ・・・」シン・仮面ライダー 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ストーリーも格闘シーンもイマイチ・・・

2023年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「シン・ゴジラ」に始まる庵野秀明が携わる「シン・〇〇」シリーズの4作目。年代的には仮面ライダー世代ではあるものの、子供時代にライダーを観ていなかったので、懐かしさというものはあまりありませんでしたが、「シン・〇〇」シリーズとしての続き物と捉えて観に行きました。昔の作品を知っているゴジラやウルトラマンと違って、新鮮な眼で観ることが出来ましたが、その反面全く従来作品を知らずに観に行ってさっぱり理解出来ずに轟沈したエヴァンゲリオンの記憶もあるので、観る前はドキドキでした。

結果、背景も含めてストーリーや人物描写は理解出来ましたが、正直ゴジラやウルトラマンと違ってスケールが小さいというか、描かれている世界が主人公周辺に限定されていて、あまり心躍るような高揚感を得ることは出来ませんでした。

特に「シン・ゴジラ」は、東京を舞台にゴジラが暴れ回る展開で、非常にリアルに再現された東京の街が破壊されていくシーンに大いに興奮させられたものですが、本作では人気のない巨大プラントや屋内での戦いがメインであり、その迫力の少なさにちょっと拍子抜けしてしまいました。まあ等身大ヒーローの仮面ライダーに、ゴジラのようなものを求めても詮無いのですが、ショッカーが一般庶民を苦しめるシーンが全く描かれておらず、その結果ショッカーに対する恐怖とか怒りとか言ったものが観客サイドに醸成されないので、戦いが非常に平板に見えてしまいました。

ショッカーの親玉が、AI(人工知能)であるという設定は、今様の仮面ライダーを演出するという意味では興味深いものでしたが、登場機会が少ししかないため、最終的にあまり印象に残らなかったのが残念。もう少しライダー達との戦いに関与する場面を描いてくれた方が良かったような気がしました。

また、浜辺美波演ずる緑川ルリ子と森山未來演ずる緑川イチロー兄妹のキャラクターが、大した伏線もないままに大きく変化してしまった点も、「えっ」と思わざるを得ませんでした。単純明快な勧善懲悪物にせず、悪役も辛い過去を背負っていることを描くという手法は、鬼滅の刃などでも見られた展開でしたが、それにしては人物描写が浅い感じがして、悪く言えば子供騙しと感じたところです。

池松壮亮演じる本郷猛と緑川ルリ子の関係も、出会った当初は非常にドライな感じだったのに、あっという間に信頼関係を通り越して恋愛感情のレベルにまで発展してしまうのも、人間の感情ってそんなに単純なものかしらと思わざるを得ませんでした。

肝心のアクションシーンも、空を飛びながら格闘するシーンはチープそのもの。地上での戦いは、血がドバっと出るところだけが妙にリアルでしたが、大味な展開に終始しており、今一つでした。特に最後の戦いは、動きそのものが緩慢で、それをカバーするためにカメラを敢えてグラグラさせて臨場感を出している感じがしたのが非常に残念でした。

そんな訳で、仮面ライダーを初めて本格的に観ることが出来た本作でしたが、中身の方は「シン・〇〇」シリーズの中でも残念ながら最下位だったんじゃないかと思えましたので、評価は★2とします。

鶏