「監督の実写作品らしい仕上がり」シン・仮面ライダー TORAさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の実写作品らしい仕上がり
監督が常々話していたテレビ初期の暗い画面で何だかわからないが凄いアクションしているというイメージはギリギリ見えるレベルで再現されており、映画全体から受ける印象が上手くソレに近しい感じになってました。
また近年物足りなさを感じていたバイクのスピード感疾走感とも満足出来る演出で、初期仮面ライダー感を増幅させています。
あとライダー意匠の重要なキーワードである涙を物語上の設定に落とし込み、あえて役者さんの演技で体現させることで、その意味を知る者にとってグッとくるシーンに仕上がっていた部分、そしてやはり原作ラストシーンの解釈とそれに至るシークエンスの美しさに初期仮面ライダーや原作への監督の想いが詰まっていたと感じました。
反面、画面の暗さや暴力描写、原作設定や石ノ森作品のオマージュの数々は自分のような初期ライダーを知るものにとっては理解できかつ納得の要素だが、果たしてそれ以外の一般層や後続世代に対してはどう感じるか?ともすれば敷居の高さとなるのではないか?とどうしても気になる所であり、さらに元々ゴジラやウルトラマンに比べ題材的に狭いターゲットと言わざるを得ない仮面ライダーは、興行成績的にどうなるか不安視しながらも注視していきたいと思います。
まあシンシリーズとしてのスパイスを効かせて最近のファンへのフックもアザとく仕込んであるところや、ややウェッティとも言える要素も「らしさ」があり、総じて庵野監督の実写作品らしいと私は感じました。
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