「大人の観賞に耐えうる「仮面ライダー」」シン・仮面ライダー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の観賞に耐えうる「仮面ライダー」
基本的に「子供向け」のコンテンツである仮面ライダーを、いかにして大人が観ても納得のできる作品にするか?
この映画の見どころは、そこに尽きるだろう。
その点、ショッカーの設定を「世界征服を企む悪の秘密結社」から変更したり、まるで体の一部がマスクやスーツになるかのような「変身」を取りやめたのは、成功だったと思う。
何よりも、タイトルにもなっている「仮面」を、頭に着脱する装備品として位置づけ、しかも極めて重要な機能を持たせているところが泣かせるし、「プラーナ」という新しい概念を導入して、ライダーの戦いにリアリティーと説得力を与えているのも良い。
政府の機関を登場させるところや、魚眼レンズやカメラアングル、ぶつ切り感のある編集などから、庵野カラーを堪能することもでき、「大人の観賞に耐えうる」仮面ライダーの誕生を心から祝福したくなった。
ただ、難があるとすれば、「シン•ウルトラマン」の神永と同様、主人公である本郷猛の影が薄いことか•••
浜辺美波が、思いのほか「クール」なキャラクターにはまっているということもあり、完全にルリ子と、その家族の確執の物語になってしまっているのである。
仮面ライダーに改造される前の本郷猛の生き様や人となりがもっと丁寧に描かれていれば、それなりに感情移入のできるキャラクターになったのではないかと惜しまれる。
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tomatoさんのコメント
2023年7月23日
ホンわかした癒し系のイメージが強いですが、キリッとしたシャープな役もソツなくこなしていて、思いのほか演じられるキャラクターの幅が広いですね。
今後の活躍が楽しみです。