「スーパーのパンコーナーに売ってる安いハンバーガーみたいな作品。」アフリカン・カンフー・ナチス すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
スーパーのパンコーナーに売ってる安いハンバーガーみたいな作品。
◯作品全体
低い期待値でタイトルどおりのものが出てくる、まるでスーパーのパンコーナーに売ってる安いハンバーガーみたいな作品だった。シンプルな作りながら味付けは想像通りのこってり感で、「こういうのでいいんだよ」みたいな感じ。
襲撃、特訓、復讐。シンプルかつ無駄のないストーリーでありながら「アフリカン」とはイメージのかけ離れた「カンフー」と「ナチス」を混入させることで、案の定よくわからない作品になっている。冒頭、ヒトラーと東条英機がガーナに至った経緯は実際の映像を使いつつ饒舌に語る部分が一番のキレ味。結局なんだかよくわからない経緯だけど、なんとなく好奇心がそそられるあらすじが良い。ただこれはファストフードはどれも一口目がおいしい理論に近い。
魔術っぽい道具とか微妙に規模が小さい天下一武道会とか、大会まで一か月以上ある時間のゆとりさとか、カンフーを特訓したのに最後は銃使うとか、ぼんやり見ててもツッコミながら見られるのんびり感は良くもあるけど、正直眠かった。
序盤のヒトラーたちの襲撃シーンとかアカンテ役の人とか、思った以上にちゃんとカンフーっぽいアクションをしてたり、アフリカンな身体能力が発揮されてるところは言葉通り目が覚める見ごたえだった(時間としては1分ないだろうけど…)。
東条がのうのうと商売やってるラストは不満。ヒトラーと一緒に爆死したほうが良い。
◯カメラワークとか
・わざとやってるのかわかんないけど、役者が意味もなく目線を動かすところでカット割るの、意味もなくちょっと面白いからやめてほしい。
◯その他
・えせ関西弁の字幕、最初は新鮮だったけど中盤くらいから慣れてしまって、見終わって関西弁だったことを思い出すのにちょっと時間がかかった。
・三本指のジョーの芝居が完全に佐藤二朗。目が笑ってない爆笑とか、急に素に戻る感じとか。
・天下一武道会みたいな戦いってもっと流派をわかりやすくしがちだけど、カンフーとプロレスラー以外はよくわかんないファイトスタイルだった。
・劇伴が5つくらいしかなかった気がする。メインテーマっぽいやつも好きだけど、確殺を入れる時に流れるBGMが一番好き。
・ヒトラーとゲーリングは総統に忠誠を誓えって言ってるのに東条は天皇陛下万歳してるの、教義が難しすぎて笑ってしまった。それぞれ実は利用しあってるみたいな感じじゃないのが、なおさら目的地が謎すぎて面白い。