「もっと面白くなり得たはずの残念作」アフリカン・カンフー・ナチス Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと面白くなり得たはずの残念作
自分は設定をみて、もっとヤバイ映画を期待していた。
“ライヒ(≒ 帝国)”と“美しい日本”の結合とか、“ガーナアーリア”人とか、タブーに切り込んだ、ポリティカルで放送禁止レベルの内容に期待を抱かせた。
しかし、この点では全く発展性がなかった。
また、自分はもっと笑える映画を期待していた。
「空手 vs カンフー」。「影蛇拳」だけでは勝てないので、山奥で他流派で修行してパワーアップしたり、巫女から“託宣”を得る。
東條(なぜか太鼓腹)や、ゲーリング(なぜか黒人)はめっぽう強い。ヒトラーもアデーの師匠を倒す。
普通の英語のはずなのに、なぜか「せやけど」とか「~や」とか、どこの方言かと思うような奇妙な日本語訳。
しかし、そういう数々の面白くなりうる要素に満ちているにも係わらず、どれも中途半端な小ネタレベルで、面白さが持続しない。
そして、食い足りない気分のまま、トーナメントのシーンに突入する。
意外にも、目がつぶされ、斬首されという、凄惨なシーンが続く。
古代ローマの剣闘場のように、判定者のヒトラーが親指を“上”にするのか、“下”にするのかというシーンが何度も出るが、全部“下”という工夫の無さ(笑)。
結局、ギャクは前振りで、描きたかったのはオーソドックスな“カンフー映画”(と言ってもBC級映画だが)だったのか、と思った矢先のラストシーン。
ようやく、“ラスボス”のヒトラーとの対決かと思ったら、今度は、なぜか銃の撃ち合いになってしまう。
“カンフー映画”じゃないの・・・?
自分がウケたのは、“3本指の木の実つぶし”ところだけだった。
なんで指が二本切られるのかな?と思っていたら、そこへ落とすのかと。
もっと面白くなり得たはずの、残念作である。