劇場公開日 2021年12月24日

「楽しいエンタメアニメ。 虎杖悠仁が主人公となっている呪術廻戦の前日...」劇場版 呪術廻戦 0 あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0楽しいエンタメアニメ。 虎杖悠仁が主人公となっている呪術廻戦の前日...

2024年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

楽しいエンタメアニメ。

虎杖悠仁が主人公となっている呪術廻戦の前日譚に当たる物語。

本作は乙骨憂太という少年が主人公。ストーリーはなかなかよくできている。本編にも絡んでくるのかもしれない。ちなみに、乙骨憂太のキャラクターがエヴァンゲリオンの碇シンジに似ている。
声優がシンジを演じていた緒方恵美なので、制作側も意識しているのではないか。

呪術廻戦本編は、人間の負の感情から生まれた呪霊と、呪術師たちの戦いを描いている。呪霊は人間を襲うが、もともとは人間が生み出したものであり、そう考えると、この作品は、人間の心の醜さが人間自身を滅ぼす、というテーマが見えてくる。

さらに呪術師も主人公の虎杖悠仁のように人を助けるために、自分の力を使う人間もいるし、夏油傑のように、選民思想を持っている呪術師もいる。
特別な人間であることを自覚した時、人はどうなるのか。本作はそんな面も描いている。
基本的に一般人はやられ役かモブキャラ扱い。テーマから逸れるから、そうしているのかもしれない。

呪術廻戦は、こういった複雑な構造をうまくエンターテイメントに昇華している。

映画から話がそれたが、本作はそこまで人間について深く描いてはいない。
ただし、これはこれで悪くはない。

全世界興行収入が265億円。
製作費は20億円ほどではないかと言われているので、そう考えると大ヒットだ。

人気キャラはたくさん出てくるが、虎杖悠仁が登場しない。観なくても本編を理解できなくはならない。それでも売れる。

呪術廻戦のブランド力を感じるとともに、こういった地盤がないと映画がヒットしない、という現実の厳しさも感じる。もちろん呪術廻戦はレッドオーシャンを勝ち抜いて、ブランド化したのだから、その点は素直に評価したい。

今はエンタメが多様化し、映画産業は昔ほど娯楽の中心でもなくなってきた。
映画が映画単体で評価されるのではなく、人気コミックや人気小説といったコンテンツ全体をブランド化して、その中の1つのアイテムが映画、という売り方が今の主流になってきたのかもしれない。

あふろざむらい