「野本梢監督は、ひとりの30代の人間が失敗を繰り返しながらも成長して...」愛のくだらない 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
野本梢監督は、ひとりの30代の人間が失敗を繰り返しながらも成長して...
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野本梢監督は、ひとりの30代の人間が失敗を繰り返しながらも成長していく話を軸に、独自の視点と角度から描いています。自身の体験を元にしていると言ってますが、その感覚は「愛のくだらない」というタイトルからも感じられるでしょう。
これまで撮った長短編で野本監督は、親友への恋心を打ち明けられず悩むレズビアン女性、子育てを通して自身の葛藤と向き合う若い母親、年齢を重ねるごとに変化していく姉妹の関係、または人生の岐路に立たされた大学生の葛藤など、社会の片隅で追いやられてしまったり、他者との違いに思い悩んでいる人間などを、LGBTQやハラスメントといったテーマを交えながら、“生きづらさ”を感じている人々に光を当てて見つめてきました。
本作には昨今の“炎上”というテーマも盛り込まれていますが、より多様で複雑になった社会の中で、他者とどう向き合っていくか、自分の言動が周囲にどんな影響を与えているのかも問うています。結局それは自分に返ってくるもので、人生がむしゃらに走り続けることも大事だが、まわりの景色が見えなくなってきたことに気づけたら、一度立ち止まり深呼吸して、自分を見つめ直すことが大切なのでしょう。見る人によって、どこにポイントを置いて見るかによって多様な捉え方ができる作品です。
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