エンドロールのつづきのレビュー・感想・評価
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【”光を学べ!そして、映画の語り部こそが未来を作る。”アーティスティックな要素を塗しながら、色彩豊かに映画好きの少年の人生の新たなる一歩を描いた作品。】
ー サマイ少年は、インドのカースト制度のトップバラモンでありながら、兄弟に騙され、駅のチャイ売りをしている映画嫌いの父には珍しく、家族で”カーリー女神”の映画を観に行き、映画の魅力に嵌る。-
◆感想
1.冒頭から、パン・ナリン監督の敬愛する、数々の名監督の名がテロップで流れる。キューブリック、小津・・。
2.序盤は、「ニュー・シネマ・パラダイス」を想起させる。
映写技師ファザルにサマイが母の弁当を差し出し、映写室から映画を観るサマイ。
ー サマイの母親が、料理するシーンが度々映し出されるが、スパイス調合から始まり、野菜に肉を挟んで油でジャッと手早く炒めて行く・・。実に美味そうである。-
3.中盤以降は、2010年頃の社会文化が激変していくインドを表す描写や台詞に満ちている。
・カースト制度よりも、英語を話せる層と、話せない層に分離して行くインド。
- サマイ少年の父が自ら口にする”負け犬”という言葉。バラモンなのに・・。
・フィルム映画を掛けていた、サマイが学校をさぼって通っていたギャラクシー劇場に導入されたデジタル。それに伴い映写機やフィルムはリサイクルされていく。
- この、リサイクルシーンが秀逸である。特に、フィルムが溶液に溶かされ、色鮮やかなファッションリングに変容していく様。このシーンがラストに効いてくる。
4.サマイ少年や、ST(お父さんが駅長さんだから。)少年たちが、駅長庁舎の倉庫に置かれていたフィルムをこっそり盗み、工夫してお化け村で映画を上映するシーンも良い。
- こっそりとそれを観ていた、父親は無言でその場を去る。そして、父親がサマイ少年の未来のために、準備してくれた事。-
5.子供達が、色ガラスやフィルムで陽光を透かして見る数々のシーン。
- 冒頭、家族で”カーリー女神”の映画を観に行った際に、サマイ少年が映写室から漏れる光に手をかざすシーン。
■そして、サマイ少年は父親の計らいで、”光を学びに”列車に駆け上る。そこは女性専用列車だったが、髪の長いサマイ少年は違和感なく、その列車に乗っていた色鮮やかな装飾品を身に着けた女性達を見る。
その女性達の腕には、フィルムを溶かして作った多くの腕輪が。
それを見てサマイ少年が呟く、インドの映画俳優の名前。
”アーミル・カーン、スーパー・スター ラジニ・カーント・・・”
<今作は、パン・ナリン監督の少年時代の体験を映画化したモノだそうだが、映画に対する愛情溢れたヒューマンドラマである。
サマイ少年を演じた子役の男の子の映画を観る時の目の輝きがとても印象的な作品でもある。>
フィルムからデジタルへ
子供たちのキラキラした目に満面の笑みの上映会見たら、
そりゃお父さんも何も言えないしシバキ棒捨てるよ
お母さんの料理はどれもとても美味しそうで、もしかしたらパンフ買えばレシピひとつくらい載ってるかも?と思って買ったら全部載ってた!!
巨匠たちのフィルムも溶かされカラフルなバングルに生まれ変わり
インド女性たちの腕を美しく彩る
未だに入場特典なんかでもらったフィルムたちを光に透かして眺めている私にはとても沁みる映画だった
情熱の輪
映画に魅せられた少年の物語ですが、
娯楽が少ないからか周りの友人達男子6〜7人も皆で手造りの映写機を作る情熱の伝播が凄い。
そして主人公の少年、
「映画作りを学びたい」ではなく
「光について学びたい」
「光はフィルムを映し出してくれるから」
と、「光」の仕組みを学ぼうとするのが良かった。
古い映画館で映写室に入らせてくれるとか、
スクラップ工場のリサイクル現場に何故か子どもが入り込めて古いフィルムテープの行く末を見れるというのも一昔前の時代がなせる技だろうか。
大事な作品の詰まった大切なフィルムが溶かされリサイクルされることへの絶望から、リサイクル製品を後に目にして「あのリングはフランシス・コッポラ」「あのリングは黒澤明」と想いを馳せるところがなかなかに感慨深かった。
そしてRRRでも思いましたが、インドの人にとって
英語が話せること、英語が読めて最新機器が使えること、
「英語」が夢を叶えるキーになってるのだと改めて思いました。
そして、学ぶために小さな街を出て親元を離れても一人でも都会へ出て学ぶことが大事。。
学べ、そして旅立て。
という学校の先生の教えと理解がお父さんに伝わって良かったと思いました。
発て、そして学べ🕑🌟
サマイ少年と彼の友達、周囲の人々の想像力、創造力、行動力が物凄く高く感心した。
分からないことがあると自分の頭で考えることなく、すぐにインターネットで調べたり、必要なものがあればすぐ購入するだけの私はなんだか情けない気持ちになった。これからはサマイ少年達を見習い、自ら努力することを忘れずに生活したい。
個人的に、6人がライオンと「対峙」するシーンがお気に入り。
また、サマイ少年の母が作るごはんを見ていたらインド料理が食べてみたくなった。
この作品を見ると「ニュー・シネマ・パラダイス」と「浜の朝日の嘘つきどもと」が見たくなる。
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