エンドロールのつづきのレビュー・感想・評価
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3.6) 過去を惜しむ原題、未来に向けた邦題
てっきりノスタルジックな感涙モノと舐めていた。
いつのまにかアート映画の文法に変わり、思わぬ射程の広がりに驚く。映画がもっと好きになる映画だ。
"Last Film Show"
”エンドロールのつづき”
過去を惜しむ原題と未来に向けた邦題。
この両方が相応しい━それがまさに本作の素晴らしさだ。フィルム映画や母の手料理を愛でる旧き良き時間。だがそこに留まればカースト制度や家長制といった因習から逃れることはできない。誰よりも息子を愛しているのに、暴力で罰を与えることでしか、それを表現出来なかった父親の無念。サマイの両親は息子を育てる「言葉」を持ち合わせていなかったのだ。アメ(食事)とムチ(暴力)が、残念ながら彼らが出来る全て。
そこから旅立つために捨てなければいけないものもある。そんなトレードオフに本作は映画の歴史を重ねる。時代が変われば映画も変わる。だが魂は受け継がれるのだよ、と。捨てられた映写機とフィルムの行く末を、驚くほどフェティッシュに映したあの時間は、ある意味「映画の臨終」に立ち会い、その死に誠実に向き合っていたように思えた。
「もう映画は死ぬ」
某映画雑誌(廃刊済)編集長のニヒルを気取ったこんなツイートに心底腹がたったのを思い出した。それに比べて本作はなんと愛のある夢のある着地だろう。
今、世界で一番勢いがあるインド映画から、こんな内省的な作品が現れたのが驚きだが、「少年のジュブナイル」から「映画の歴史」にまでその射程を伸ばしたアート性が素晴らしい。
過去と未来は等価。
『ニューシネマパラダイス』というよりも『大人は判ってくれない』。
そしてたぶん『フェイブルマンズ』。
嘘が上手いやつは頭が良い
映画に愛をこめて
映画を通して失ったもの、得るもの
もう少し…
インド映画2本目にして、まさかの「RRR」越え!
うわー、いい映画、「ニューシネマパラダイス」を思い出す。
自分の運命に出合うって、こういうことなんだね。
小学生くらいの男の子が、親や友人や故郷を離れて、知らない人を頼って未知の街に行くことを即決できるくらいの、抗いがたい引力。
息子のまっすぐな情熱に触れて、息子の背中を押す父親。
見守り、抱きしめ、おいしいご飯を用意し、息子にとって最大の癒しである母親。
子どもが自分たちのもとから力強く羽ばたいていくなんて、最高。
日本に比べて、衣食住は十分でないが、遠くない未来世界の中心となるインド。
彼らの可能性は計り知れない。
子どもたちは、ハングリーさを抱えて、キラキラした瞳で生きている。
衣食住足りて、世界がすごいスピードで変化しているのに、変わらないことを選択している日本。
国としても、個人としても、未来予想図が描けない。
何がしたいか分からなくて、考えるのも面倒で、毎日何となく生きている。
住むのに楽なのは日本だけど、ワクワク生きるならインドかな。
今度は、アグラやバラナシ、リシュケシュ、バンガロール、観光地でない町にも行ってみたい!
インドのパワーに触れて、主人公のように自分の運命に気付きたいものです。
邦題いいですね
インドの逞しさ
映画への愛に溢れた作品
監督のほとんど実話という本作は、「ニューシネマパラダイス」を彷彿とさせる映画に魅せられた少年の物語。
かなり過酷で娯楽がない暮らしの中に、主人公サマイに差した光である映画。どれだけかけがえのないものなのかが、直向きなサマイの姿勢から伝わり、胸を打ちます。
インドの田舎町という閉鎖的な環境下にあり、家族や友人との関係も、日本でしか暮らしたことがない私から見るとかなり特殊。文化的にも理解し難いところもありましたが、映画に触れることで煌めく目の輝き、逆にクライマックスでの虚しさが主演バビン・ラバリくんの素晴らしい演技により体現されていて、じわーーっと心が熱くなっていきました。
ちょっとアート的な要素が思ったより強く、じーーっくり描くわりに意味を感じるのが難しい場面も多いため、観る人は選ぶかも。
とはいえ、監督の映画愛に溢れた温かく熱い作品でしたし、少年たちがとても可愛かったです。
「インド映画の新たな一面」
少年(監督)の映画への憧れが伝わってくる作品
まず・・・。
お母さんが作る料理が美味そう!!!
愛情たっぷりお弁当。そりゃ、タダ鑑賞と取引できまっせ!僕もいただきたーーーい!
料理の過程を見せてくれるのですが・・・空腹で見ると絶対にお腹鳴りますよww
さて、本作。
監督自身の映画愛がそのまんま形になったような印象を持ちました。とにかく全編キラッキラしてるのです。
☆七色キラキラ☆
きっと主人公の少年を通して監督自身の映画、過去の作品へのリスペクト、映画界への夢、期待などなどマルっと含んだワクワクする明日を描いているのではないでしょうか?ラスト、フィルムが形を変えて人々を豊かにする・・なんて描写も監督の映画愛を感じちゃいますね。
本作のキーワードは「光」なんじゃないかなぁ?って思います。
作中、光を使った印象的なシーンが数多く出てきます。光があるから映し出される色と景色。
「光を捕まえにいく」・・・素敵なセリフだったなぁ。映像って光がなければ見れないんですよね。ガラスの破片も光がなければ綺麗には見えない。未来が決まっているようなあの土地で心奪われた「映画」を作り出す「光」はサマイにとっての「夢」であり「未来」だったのかもしれないです。光が平凡な日常に色をつけてくれたってところでしょうか?その色は(映画も含めて)人々の心を豊かにする。そんな魔法のようなものに心奪われていくサマイを愛しく感じて仕方ない作品です。
そして彼を見守る家族、友達との温かいストレートなストーリーはすっと心に入ってきて爽やかな気持ちにさせてくれます。サマイのキラキラした熱情を映画館で楽しんで、さらに映画が好きになってしまいました。
ニュー・シネマ・パラダイスのインド版と思いきや…
全く違いますね。
むしろ、違っていてホッとしました。
これ、実話なんですよね。
凄いですよね。
今後のパン・ナリン作品に注目します。
親の反対を押し切ってでも、好きなことを貫き通す
どんなにお腹が空いても、好きなことに没頭する
どんな困難にも諦めずに好きなことだけに集中する
昔、林修先生が「好きなことを仕事にするのは、とてもリスクがあるから、出来ることを仕事にしなさい。好きなことを仕事にして成功しているのは、ほんの僅かか人たちだけだ」と。
ビートたけしさんも同じことを数十年前に言っていました。
だからこそ、男の憧れの物語なのです。
また、成功者と脱落者の違いを、主人公のサマイとその父を比べて分かりやすく描いていると思いきや、最後のシーンで父のサマイに対する愛情は、これも心豊かな生き方なんだろうと、ついウルっと来てしまいました。
インド映画は、好き嫌いが分かれますが、この作品はいわゆる「歌と踊りのインド映画」ではなく、映画好きはもちろん、多くの人が感動すると思います。
サマイの演技が上手い、そしてサマイが可愛い。
出てくる子供たちがみんな可愛い。
サマイのお母さんが、綺麗で優しくて、そして料理が上手で。
今日の夜はインド料理屋さんに行くことにしました(^^)
ボーイ・ミーツ・ムービー 芸術的な演出に引き込まれる
インドの貧しい家庭に生まれた少年は、学校に通いながら父親のチャイ売りを手伝う。
少年はある日「これきりだ」と一言付け加えられながら、家族で映画を観に行った。
映写機から伸びる光、映画を運ぶその光に少年は心を一瞬にして奪われる。
映写機の光に囚われた少年の心情は、言葉ではなく芸術的なカットで描かれているのがぐっとくる。
どことなく『ニュー・シネマ・パラダイス』に似た感じがするが、
この映画では親子関係や貧困についても、細かに描写されている。
暖かい暮らしの中にいる私から見たら、虐待や犯罪など完全にアウトな要素もたくさんあるんだけど、
社会の発展から取り残されたインドの貧しい地域では、当たり前で許容範囲の現実なんだと思うと、
改めて貧困問題について考えさせられる。
辛さがにじむ社会問題の部分はさておき、境遇は全く異なるのになぜか少年に共感を覚える。
それはきっと私たちの記憶の中にもこの少年のように映画に心を奪われた瞬間の煌めきが残っているからだと思う。
あぁ、映画好きになって良かった…
そう思わせてくれる素敵な作品だった。
インド映画なの?!素晴らし過ぎる!!
23-010
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