劇場公開日 2021年9月3日

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テーラー 人生の仕立て屋のレビュー・感想・評価

全58件中、41~58件目を表示

3.5とても清々しい作品

2021年9月6日
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鑑賞方法:映画館

 主人公ニコスの表情がいい。基本は無表情で大抵のことには驚かないが、時折見せる笑顔がとても幸せそうだ。仕立屋だから当然の如くスタイリストであり、自分で仕立てたスーツに身を包んだ姿は一部の隙もない。上着を脱いでチョッキの肩に黄色いメジャーを掛ければ、職人然とした佇まいに信頼感が漂う。いいスーツを仕立ててくれそうだ。
 景気がいいときであれば、金持ちの男性たちがこぞってスーツを仕立てに来たのだろうが、ギリシア全土を覆う不景気の影は、高級スーツを真っ先に見捨てて、アテネの街は皆Tシャツだ。スーツを着るのは結婚式か葬式くらいである。ニコスの出番はない。
 そう言えば東京の勤め人も、スーツ姿がだいぶ減ってきている印象だ。コロナ禍の人出の様子として毎日ニュースで映される渋谷駅前の交差点には、スーツ姿はちらほらである。新橋ならもう少しスーツがいるだろうが、戦後の高度成長期みたいに100%近いスーツの群れは、もはや東京では見かけることがない。東京で見かけないということは、日本のどこでも見かけないということだろう。
 ニコスの仕立てるスーツは800ユーロと言っていたから、大体10万円程度である。仕立てのスーツが10万円なら、東京ではとてもリーズナブルだ。銀座で仕立てたら50万円ほどである。安くても30万円だ。アテネの物価が安いといっても東京の半分までは安くない。ギリシアの不景気の程度がわかるというものである。

 なんとか仕立屋の仕事で客を増やそうと奮闘するニコスだが、どうにもその仏頂面が気になる。世界で一番セックスの回数が多いのがギリシア人だそうだから、隣人の色っぽい人妻オルガを見る目に、少しはエロさがあってもよさそうなものだが、清廉潔白のニコスは、若い女性のTバックにさえ目を背ける。
 心が通わないところに愛はない。50歳まで独身を貫いているニコスには、そんな思春期のようなプラトニックな雰囲気がある。身の上話をした日のオルガとの交わりは、ニコスにとって久しぶりに訪れた至福のときだったに違いない。よかったね。

 差押えを食らって店はもう使えないが、銀行を恨むのは筋違いだ。景気が悪くなれば銀行も背に腹は代えられないのだろう。こうなれば行商一本でいくしかない。50歳での旅立ち。別れは寂しいが、きっと出逢いもある。人にも出逢うだろうが、新しい生地にも出逢うだろう。仕立ての腕一本で生きてきた。どんな生地でも仕立てられる。これからも腕一本で生きていくのだ。明日は明日の風が吹く。とても清々しい作品だった。

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耶馬英彦

3.0雰囲気で観ればOKかな!

2021年9月5日
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さすがに、テーラーが急にウエディングドレスを作れる訳はないが、そこがおもしろいということにして、観るしかないだろう。
テーラーのニコスは父親の店を継ぎ、店でお客を待つが、お客はまったく来ない。
そこで、屋台を作り、それを手で引いて、スーツの移動販売を始めるが、オーダーのスーツが屋台で売れるはずもない。
ある日、屋台を引いていると、ウエディングドレスは作れないのかと聞かれ、仕事がほしいニコスは、その仕事を引き受けてしまう。
ギリシャのアテネを舞台とした、少しユーモラスな物語。劇場で、ぜひご覧ください!

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caduceus

3.0コミカル要素は少な目だったけど、雰囲気のある作品で楽しめた感じ。

2021年9月5日
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鑑賞方法:映画館

予告編がコミカルな感じで興味があって鑑賞。

父の代から経営するテーラーで紳士服を作るニコスが主役。
経営難となり銀行にお店を押さえられ、手作りの移動販売のテーラーで商売をしていく展開。
移動販売でも紳士服が売れず、今まで作ることも無かったウエディングドレスを仕立てて行くストーリー。

ニコスの隣人の家族。タクシードライバーの旦那、その妻のオルガ。娘のヴィクトリアなどとほのぼのしながら進む展開が良い。

出だしでミシンの機械音と音楽がシンクロする場面に期待値が上がる。
たくさんのウエディングドレスがどれも美しくて新鮮。

SUZUKIのバイクにテンション上がったのも束の間。
その後に登場するシトロエンバスの方がテンション上がってしまった(笑)

ニコスと子供のヴィクトリアの文通する仕方が微笑ましい。
彼女の仕草がとても可愛く演技もお上手。

終盤。本作に似合わないシーンにビックリ。
その時、ヴィクトリアがオモチャで遊ぶシーンがとても恐ろしかった(笑)

ラストシーンはサブタイトル通りの感じで良かったけど呆気なく終わってしまったのは残念。

自分的にヴィクトリアには助演女優賞を差し上げたいです( ´∀`)

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イゲ

4.0見て良かった映画。お勧めしたい映画。

2021年9月5日
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テーラーの仕事は素晴らしい。
手に技術を持っていると言えるのが
どれほど素晴らしいことか良く分かる映画。

映像は美しくてゆったり流れる音楽が余韻を残す
夕暮れの爽やかな海風を感じた気分になる映画。

私はこの映画好きよ。

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ayaka960611

3.5静かに変化していく

2021年9月5日
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鑑賞方法:映画館

古いスーツの仕立て屋が、戸惑いながらも変化していく。
しかも、静かに。

それがこの映画の味なのだが、もう少し喜怒哀楽を見せた方が良い。
ウェディングドレスで幸せになるとか、服で女性が幸せになるとか、その辺があっさりし過ぎている。
主人公を見て、自分はこんな風に淡々と出来ないだろうなと思う。

ギリシャの生活をリアルに感じさせるところが良い。

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morihide

3.0保守と革新

2021年9月4日
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楽しい

単純

幸せ

父子で営んでいた高級テーラーが銀行に差し押さえられることになるなると共に父親が倒れたことが切っ掛けで、自作屋台で露天営業を始める息子の話。

淡々と飄々としたコミカルさがある中で、仕事にプライドを持ちつつも、新たな仕事に挑戦していくちょっと変わったジェントルマンという感じがユニークで面白い。

既成品にしても仕立てのウェディングドレスにしても、安すぎて儲け出るのか?という感じだけどw

ただ、ヴィクトリアやオルガとの関係もすっとぼけた感じで悪くはなかったけれど、この空気感ならそこまで行かなくてもとは感じたし、ラストも、専業にしなくても良かったんじゃない?まあ、そこがプライドだったりするのかな。

終始輪郭をぼやかした様なヒューマンコメディという感じだから、グサッとくるものはないけれど、これはこれでなかなか良かった。

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Bacchus

4.0ニコスの恋の行方は

2021年9月4日
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鑑賞方法:映画館

 冒頭のシーンでは、仕立て屋のパントマイムなの? と思うくらいセリフがない映像を見せられる。思い切った演出なんだけど、ちょっとウトウトしちゃいました。

 ニコスの店の向かいのアパートに住んでいる女の子がニコスとやたらと親しげで、洗濯ロープを使ってニコスとメモのやりとりなんかをしている。この女の子が物語の鍵を握っているんだけど、スネっぷりが超自然で演技がめちゃくちゃ上手い。

 ニコスの再出発がメインなストーリーなのかと思っていたら、途中からニコスのウブな恋が始まる。アイコンタクトで恋のやりとりするなんて、見ているこっちもときめいてしまう。しかも、三角関係の修羅場まであるんだよね。修羅場っていっても、表向きは大人の会話で、内心がバチバチしているんだけど、小道具を使った心情表現が上手いねこの監督。セリフ以外で、各自の気持ちがすごく伝わってくる。

 ニコスの恋の行方が気になってしょうがなかったけれども、その幕の引き方があるのかって唸りました。

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bion

5.0コロナでテレワーク全盛だからこそ、今観たい映画。

2021年9月4日
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今年115本目(合計179本目)。

今週(9月3日の週)は、外国映画祭りなんでしょうか…。「アナザーラウンド」のデンマーク語に始まり、こちらは「ギリシャ語」(ただし、下記参照)。それどころか、ギリシャを舞台にした映画って、それこそ「オリンピックネタ」か「古代ギリシャ文化」くらいの類型でしかみないし、この映画「そのもの」はギリシャでなくても成り立つところ、ギリシャが舞台というのは、結構珍しいなという印象です。

ストーリーはもういたってシンプル。「特集」と予告動画で90%以上わかるので、ネタバレというネタバレが存在しません。一方、他の方も書かれている通り、序盤と終盤にかけて、妙にセリフが少なく、「映像で理解する類型なのかな…」という点は思いました。

翻って日本を観ると、こういうお店は存在しないし(道路を勝手に使ってはいけない、という行政法規があるため)、また、タイトルにも書いた通り、このご時世、テレワーク全盛で、中には24時間監視している会社もあるそうですが、普段ならスーツ着用の会社もテレワークならスーツも何も要求されないので(極論、Tシャツでもポロシャツでも何でも問題にならない)、このご時世で高級服を扱うというのは「現在の日本のご時世」では、どうしても需要が少なくなる点は否めませんが、一方で社会人マナーとして何かあったときにスーツを着るのもまたマナー。今はこのご時世なので忘れがちですが、ギリシャを扱うというかわった設定もあり、今週一押しかな、と思います(9月3日の週では本命の線には入る)。

 なお、首都アテネ以外にも、色々な場所を主人公は「移動式テーラー屋」で移動しますが、中には聞いたこともない地名が登場します。この点は公式サイトに「このご時世だからこそ映画内でギリシャ旅行」とか、「映画内に出てくるギリシャの各都市の紹介」というページが別に作られているので、事前に公式ホームページを観るのをお勧めします。

 採点は下記が気になったものの、真相がよくわからず、減点対象にするのは好ましくないので、5.0(フルスコア)としています。

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 (判断保留/減点なし) この映画、ギリシャがテーマなので、話されている内容は英語ではありません(英語でも何でも、ある程度語学の知識があれば、フランス語か、イタリア語か、スペイン語か…という点はだいたい推測がつくようになる)。おそらく、ギリシャ語ではないか…と思えます。

 一方で、この物語の「お手伝いさん」として登場するお子さんが「宿題手伝ってよ」という点は、字幕内では《…》と、別言語(《》でくくられている)を示唆しており、その中では「ギリシャ語は嫌い、動詞の活用が複雑だから」みたいなことを言っています。

 すると、複数の言語があることを考えると、反対解釈すれば「ギリシャ語とそれ以外の言語」があることになるのですが、何の言語か不明でした(日本でも、日本語以外にも方言と言えるほどや、沖縄方言など、外国視点では別言語と言えるものもあるので、方言という可能性もある?)。

 これらはストーリーの理解や評価には一切関係しませんが(ギリシャ語でも何語でもストーリーには一切関係しない)、妙に気になりました(ギリシャでは現代ギリシャ語が第一言語なようですが、方言のレベルの別言語なのか、まったく違う言語なのか不明。数は少ないながら、ギリシャ語の看板の文字(ギリシャ語なので、αとかβとかγとかが出る)も登場し、すると反対解釈で「もう1つの言語は何?」ということになります。
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yukispica

3.5沈黙は語りかけてくれず

2021年9月4日
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鑑賞方法:映画館

 無言で目の表情や足の動きがアップになるが、真意を汲み取ることが難しい。
 あと、弦楽器の音色が私には不安を掻き立てる音にしか聞こえず、最後まで馴染めませんでした。
 何歳になっても一家の長で有り続ける父親とか、国は変われど似たようなものだと共感を覚えるところもあり、駄目な作品なのかと問われれば、そんなことはなくてラストまで色々考えながら観ることができました。

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ニコラス

3.0チョイプラス

2021年9月4日
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鑑賞方法:映画館

146本目。
高岡目線、高岡さんに似てるなと相変わらず余計な事を考えながら観てるんだけど、入り方が面白く、この後何が起こるかワクワクする。
でも、そんな作品ではないと思い直す。
所々、センスを感じるんだけど、正直そこ迄の盛り上がりはない。
けど発想は面白かったかな。
プラマイでチョイプラスな感じ。

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ひで

4.0テーラー

2021年9月4日
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鑑賞方法:映画館

ドレスづくりが大好きな主人公、素敵です。
小さな娘の協力は、強力でしたね!
ラストは、自転車から車にパワーアップですね!

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かん

4.0【ギリシャから、なんか良い話】

2021年9月4日
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ヨーロッパ危機、場合によっては、ギリシャ危機と言われたあたりで、ギリシャが経済的な危機に瀕していた頃に時代設定した物語だ。

今は随分、景気も持ち直して良くなったと思うけど、当時は社会保障費の大幅削減とか本当に大変だったのだと思う。

一部にはアテネ・オリンピックなんか開催して金使い過ぎたとか言われていたけど、リーマンショックなんかの悪影響もあって、イタリアやスペイン、ポルトガル、アイルランドなんかも似たような状況で、豊満財政は本当に国民の利益にならないと思った。

(以下ネタバレ)

店舗を構えた紳士服のテーラーから、発想転換して、移動式テーラー、婦人服の仕立て、そして、最後にウェディングドレスの仕立て屋に展開していく様は、もし事実で有れば、ちょっとしたビジネスのケーススタディとして取り上げられても良さそうな話だ。

日本では、店舗を構えずキッチンカーで営業するお店も多くなってるように思うので、ちょっと似てるかもしれない。
コストは安いし合理的だ。

無口で几帳面、朴訥としたニコの人柄も魅力的に映る。

父親と共同経営で、従属的だったのが、自立して、だんだん表情が自信に満ちていくように見えるのは、僕だけだろうか。

ロンドンで勉強していた頃、同じコースにギリシャ人の富豪の息子がいた。
ゴージャスな雰囲気で、家にはフィリピン人のメイドがいて、部屋も食べ物も与えているので、給料は払わないと言っているのを聞いて、ギリシャは差別主義なのかと腹も立ったが、当時、唯一の楽しみだった読書で、村上春樹さんのギリシャ滞在体験記の「遠い太鼓」は本当に面白くて、いつかギリシャに行ってみたいと、興味の方が、腹立たしさを上回るようになった。

それで、念願かなって、アテネ・オリンピックの少し後ぐらいにギリシャを旅行したが、やっぱり良いところで、日差しがキラキラ眩しくて、でも、リーマンショックを経て、ギリシャ危機が起こって、けっこうショックだったことも思い出す。

なんか、ギリシャ映画って珍しいよね。

切なくて、ユーモアもあって、笑えて、そして、優しさを感じる作品だった。

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ワンコ

5.0大人のための味わい深い映画

2021年9月4日
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人の気持ちは常に白黒はっきりつけられる訳ではなく、何もかもを言葉で説明する必要もない。

音も台詞も満載でノイズばかりの映画が多い今日この頃、静かで深みのある映画に出会うと映画のマジックを感じられて幸せ。

ジャック・タチを思わせる主人公も、彼が住むギリシャも、脆さと強さを待ち合わせていてカッコいい。

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Chloé

4.0ほんのり背筋が伸びた

2021年9月3日
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優しくてほんのりさみしい。音と映像で語られるとても良い作品でした。作り手が観客を信頼しており、私たちの日常そのままの、少し足りないような噛み合っていないような物語の流れや結末も、1+1=2ではないその不完全さにほっこりしました。
単純明解な作品も好きですが、こういった作品が見られる環境が失われてほしくないとつくづく思います。

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10

3.5ギリシャの青と真っ赤なSUZUKI バイク

2021年9月3日
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単純

高級スーツの仕立て屋を父と営むニコス。いつも父に敬意を持って、真面目に仕事に取り組んでいたがギリシャ不況の中、銀行からの差し押さえ通知がくる。そんな中、父は病いに倒れより生活は苦しくなる。ニコスは、移動販売を思いつくが、その姿は移動露天商であり、時に人参や魚売り場の隣りで商売がはじまる。得意のスーツの依頼はなく気落ちする中、ウェディングドレス、カラフルな女性服の依頼が入り、オーダー依頼に颯爽と赤のバイク(日本製SUZUKI )にリアカーつけて新しい一歩をふみ出す。
ニコスの隣りに住む優しいオルガと娘ヴィクトリアが素晴らしいアシストをするんですが、人妻なのが残念…でこの辺りから雲行き怪しくなっちゃうし、もっともっとオーダーの素晴らしさ出して欲しかったなぁ。そこが残念!
ただ、テーラーのニコスの佇まいと採寸する手さばきは見ていて職人技って本当に貴重で素晴らしいと感じた。私自身もオーダースーツを作るがいつも採寸、生地選び、ボタン選び、裏地選びと、ひと時優雅な気分になり身体を包み込むピッタリフィットする仕上がりに満足する。また、スーツを作りたくなった映画でした。

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色彩先生

4.0台詞がなーい。

2021年9月3日
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ギリシャというエーゲ海の白い街並みを思うけど、庶民の生活はやはり質素。
しかし、父友達は皆お洒落。いつもスーツ着てる。
主人公が無口のせいで、極端に会話が少ない。
静か、足踏みミシンを踏む音、几帳面な親子、真面目に生きてきたんだろうな。
世の中、思い切って全て捨てて、踏み出すほうが旨く行くのかな。

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モナチン

4.0スーツ好き必見!

2021年9月3日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

【堅物で不器用、ひたむきな主人公が愛おしい】

ギリシャの美しい海と青い空の下で織り成す仕立て屋の男が、自分の人生も仕立てていく物語。

ギリシャのアテネで高級スーツの仕立て屋を父と36年間営んできたニコス、不況によって店が差し押さえとなり、さらに父は病に伏せるわで、まさにどん底の状態だった。ある時移動式の本屋をヒントに、手作りの移動式屋台で仕立て屋を始めることに。さらにウェディングドレスを望むお客さんの一言から、これまでに作ったことのないウェディングドレス作りに挑戦することとなる。

ひたむきにチャレンジする50歳のニコス。人生に“遅い”なんて一つもない!いつでもリスタートできるんだよね。

なんといってもドレスやスーツを仕立てるシーンが美しい。滑かな生地のミルフィーユ、彩豊かな糸や華やかなレースが画面いっぱいに溢れだし、まるで宝石箱のようだった。そうか、仕立て屋さんは職人でありアーティストなんだ。職人たちへのオマージュ作品でもある。

なにせ映像が美しい。冒頭のミシンのリズムに合わせて奏でられる音楽、ギリシャの市井の人々の爽やかな笑顔に元気が湧いてくる。

脚本そのものにはモヤモヤする部分が幾つかあったけど、映像が美しかったからまぁいいっか。

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マキ

4.5糸と布と巻き尺とハサミ✂️

2021年9月3日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

弦楽器の美しい調べ、明るい海と陽光、活気ある町、その中で寡黙だけど目と手と足が表情豊かなニコ。

パジャマの時以外は、いい仕立てのスーツにジレにネクタイ、ポケットチーフはネクタイと揃い、ジャケットを着たらカフスをつけたシャツの袖をきれいに出してズボンの丈も完璧!首に巻き尺だから仕立て屋プロと分かります!屋台も店も完璧に整理整頓されていて掃除も行き届き客商売エチケットとしてキャンディをたまに口に入れる。布にシワを見つけたら手でシワ伸ばし、テーブルが凸凹だと布を裁断して端をミシンで縫ってテーブルクロスをちゃっちゃと作る、糸がほつれたボタンを見ると気になってしまう、腰掛ければミシンを踏むように足が動く。

ガウン姿の時もポケットチーフをしてるようなお洒落で頑固一徹なお父さん。我々は「お針子さん」ではないというプライドがある。そんな父親に鍛えられたアテネ一番の高級紳士服の仕立て屋のニコ。でもニコには父親の世代にはない柔軟さと適応能力と好奇心がある。ドレス世界に対応するセンスとひらめきがある。

ウェディングドレスのオーダーメイド!なんて素敵なんだろう。多分、夏がウェディングシーズンだから屋外できれいに映えるウェディングドレスをみんな注文するのかな。新婦も希望を言う、代金交渉、採寸、仮縫いとプロセスを楽しめるから幸福感も倍増!その嬉しい顔を見るニコは商売としてもプロとしても幸せ💕隣人のオルガ&娘との関係がなんとも言えず可愛らしい。娘とは鏡と灯りで合図、糸のモノレールでメッセージのやりとり。オルガが幸せで楽しく仕事をしているのは彼女の目でわかる。そんなママに焼き餅を焼く娘。二人とも男の人を見る目があります。ニコ役の役者さんの演技は本当に素晴らしかったです。もっと観たい!

ウェディングドレス注文の最初のお客の新婦さん。屋外の結婚パーティー会場で煙草をくわえてた!自由でいい!

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talisman