「読後感は良しとしてもいいですか」先生、私の隣に座っていただけませんか? Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
読後感は良しとしてもいいですか
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いきなり俊夫さんと担当編集の不倫から始まるが、田舎に引っ越した佐和子さんが漂わせる重たい脱力感を見て、もっと根深いところに理由があるのかなと推測。
終盤になって、佐和子さんは夫婦の亀裂の要因は不倫のみならず、漫画家としての俊夫さんを尊敬できなくなったことにあると仄かして、伏線を回収したかに見せます。
ここで終わっていたら、清々しい限りでした。
ところが、夫婦で作品を仕上げた後、佐和子さんは塞った傷口を思いっきり開くようにして、無言で去っていった。
いや、男も女も、仕事も人生もなぁなぁじゃ済まないんだよ!と言うことか。
でも、漫画家業としての元夫との繋がりは切らない。それも俊夫さんの未練を掻き立てるための仕返しに思えました。
それでも、佐和子さんがここを去っても仕事はあるからねーと、担当編集が明るい声ではしゃいでシネマは終わる。
これは明日への希望を残したエンディングの一つの形で、観る者にとって肩の力が抜けて、爽やかさを感じたのです。
自動車教習所への道筋ののどかな眺めや、教習所の中の奇妙に広がりのある景色は、物語の穏やかな結末を想像させたのですが、決してそうはならなかった。
しかし、教習所の先生に惚れるのが早すぎて、このあたりにもう少し綾が欲しかったです。
黒木さんの清楚と可笑しみが掛け合わされた、不思議な笑顔を見ていると、不倫はきっと妄想だよなとか、いや事実だとか、ずっとハラハラ感が途切れないで、愉しかったです。
心に何かをギシッと秘めたまま、行動しないでと、黒木華さんに言いたい。
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