ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のレビュー・感想・評価
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Black Power Story That Transcends Race
The last half-decade has seen an overwhelming number of films deconstructing issues of race in America. Few films are like Judas, which is needfully optimistic about reaching the mountaintop. Judas often feels like it's veering into predictable territory, but there are plenty of well-played twists and surprises. Kaluuya is good, but Stanfield's performance as a loner stands out as more authentic.
タイトルなし(ネタバレ)
「ローザ・ルクセンブルク」と「フレッド・ハンプトン」を我が高校時代の世界史の教師が
「革命を成し遂げようとして、●●●●によって目前で消された無念の人」と教えてくた。
現在、僕は、こう言った出来事があった事すら忘れて怠惰な生活をしている。そして、ご当地のアメリカは、フレッド・ハンプトン氏が演説した「アメリカに於ける社会主義」等欠片もない。
しかし
演説や彼の行動を見る限り、些かアナクロではあるが、彼はテロリストとは違うと理解できるだろう。
そして
映画の最後にフレッド・ハンプトン氏の意志がまだ繋がっている事を知る。
マルコムXやキング牧師のあとに起きた出来事で、前述の様に高校2年になるまで、僕は、はっきりと知らなかった。知っていたのはアメリカの社会主義は「毛沢東語録」を持つ事が「流行っている」と教え込まれて来た。高校生になった頃、毛沢東語録を買いに神保町へ行った事を思い出した。
だがしかし、残念な事だが、その革命もとんでもない革命と知る事になる。
さて、繋がれたフレッド・ハンプトン氏の意志は花を咲く事があるのだろうか。
結論を付けるとすれば、現在のままでは無理だと思う。然らば如何に?
この映画はそれを象徴していると感じた。
フレッドハンプトン氏の意志を極ありふれた様相のデボラさんが次いでいる。つまり、詩人で女性のデボラさんが次いでいるのだ。だから、女性の台頭を暗示している様に感じた。勿論、制服を来た女性の台頭を望んでいるのでは無い。普通でも女性の女性としての意識の向上が望まれる。と言う事である。
そんな風にこの映画は締めくくっている様に思えた。だから、「ローザ、ルクセンブルク」なのである。
女性に対する差別や性差を嘆いているのでは無い、勿論、女性は女性らしくでは無い。女性がイニシアチブを取ってもらいたいって事である。
具体的に言えば、女性がイニシアチブを取った「革命」が起きないかなぁって事である。
事実を忠実に再現したら、退屈な内容になった作品
理解しづらい異国の人種差別問題だが、
事件らしい事件、ショッキングな出来事というのは、
ラストまではほとんど起こらず、ショートスリーパーの私にとっては、
効きすぎるくらいの、睡眠導入剤だった。
2つほど感想のポイントがあり、
1つは、「事実は小説よりも奇なり」で、残念な内容だった事。
ラストの銃撃一部始終が終わり、
事実の映像と後日譚が、差し込まれていたが、
作品本編よりも、そこの事実部分が一番ショッキングで、一番目が覚めて、一番興味深かったのは、
さすがに笑えない。
もう一つは、ブラックパンサー党リーダー役の演説アジテーションだけは、
目を見張るものがあった事。
その後の作品である「ゲット・アウト」でも良かったし、
「NOPE」では、今回の情熱的な役柄とは、まるで逆の寡黙な役柄で、
同じ俳優とは思えない演技力で感心した。
とにもかくにも、重めの題材であるがゆえに、
事実としてあった事を、
忠実に再現しようとしたせいなのか、
物語としては退屈な内容だった。
もう少し、スリリングな展開にしたり、
主人公がスパイという、いかようにも面白くなりそうな、
人物背景があったのだから、
そこに手を加えても、良かったのではないか、
と思った。
power to the people
最近では何でもかんでもテロリスト扱いしているマスコミ。警察側としてはテロリストじゃなきゃ困るんだよなぁ。いざとなりゃ射殺できるんだし、それが正義になるんだし・・・そんな序盤の攻防や中盤におけるフレッド・ハンプトン(カルーヤ)の演説が最も盛り上がってた。さ~みんな一緒に「I am a revolutionary」
警察側のやり口。内通者を作る、まずは一発撃たせる、そこで一斉攻撃。結局は暴力主義的なところが崩壊へと導かれたのだろうか。やっぱり銃社会アメリカを感じる。
内通者に仕立て上げられたビルにしても、そこまでブラックパンサー党で活躍しなければ罪深くなかったかもしれないけど、フレッドに近づきすぎたな~といった印象。
演説も印象的だったけど、面会謝絶の病室の前で文を読み上げるジェイクの姿も印象に残ったぞ。
エンドロールの衝撃No. 1
辛い人生
ビルは仕方なくFBIの飼い犬になった。
最初は全く興味がなかった革命運動の中心に近づいていった。
だんだんと共感していくが飼い犬は飼い犬。申し訳なくおもいながらも密告して裏切る。
仲間が次々に死んでいっても飼い犬からは抜けられない。
とうとう議長暗殺にまで手を貸してしまう
それなのに誰にも気づかれない
心の底では誰かに気づいて殺して欲しかったのかもしれない。
オスカー候補でした
重く難しく、
実話
暗殺されたブラックパンサーのカリスマ幹部と、チクリ屋に仕立てられた男。
裏切り者と、暗殺されたブラックパンサーのカリスマ指導者
2021年(アメリカ)監督:ジャカ・キング。
1969年にたった21歳の若さで警察とFBIによって暗殺されたフレッド・ハンプトン。
ハンプトンは「ブラックパンサー党」シカゴ支部の議長として、黒人の地位向上に尽くしていた。
子供への無料給食や、診療所の建設を重点にして、決して武力を持って革命を起こすような過激な指導者ではなかった。
しかしハンプトンの演説は力強くカリスマ性があり、多くの黒人に夢を与え、鼓舞した。
一方でビル・オニールはFBIの偽バッジをチラつかせて、車泥棒を働く小物だったが、
警察に捕まった時、釈放を条件にして「ブラックパンサー党」の潜入と情報提供者に
仕立てあげられる。
ビル・オニールを演じたダニエル・カルーヤは情報屋を辞めるに辞められない弱い立場や、揺れ動く心情を繊細に演じてアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
しかし若きカリスマ指導者のフレッド(ブラック・メシアの意味は黒人の救済者だが、)役のダニエル・カルーヤの熱演あってこその映画で、演説の素晴らしさは他を寄せ付けない凄さだった。
それにしても「アメリカ」
キング牧師の暗殺(1968年1月15日)
マルコムXの暗殺(1965年2月21日)
そしてフレッド・ハンプトンの暗殺(1969年12月4日)
黒人の夢そして希望を託す巨人は、アメリカ政府の暴力でその命を絶たれ、
常に黒人に絶望と禍根を残す。
(キング牧師が、マルコムXが、フレッド・ハンプトンが偉大だから・・その影響力を恐れて、手っ取り早く暴力で排除する!!)
正義が正しく為されないアメリカは、卑劣で心の貧しい国家だ。
主人公の恐怖や苦悩をもう少し描いて欲しかった
過激な公民権運動を行う「ブラックパンサー党」。その組織の情報提供者になることを強要された主人公が、組織のリーダー・フレッド・ハンプトンと関係を深め苦悩する物語。
事実に基づく物語のようですね。
内部に潜入した捜査官、或は内通者の苦悩を描く物語は珍しくありません。「潜入がバレることへの恐怖」、或は「対象者への共感から抱く苦悩」。この作品もそんな内通者の感情を描かれています。
やはり事実に基づいた・・・の言葉はとても重く感じます。
酷い差別、先鋭化する公民権運動、そして公僕とは思えない官憲の弾圧。時代とはいえ、過酷さを感じざるを得ません。
そんな時代だからでしょうか。強烈なリーダーシップと理想を語り、カリスマ性を見せるフレッド・ハンプトンが魅力的です。そしてそのハンプトンを諫め、窘め、そして支える夫人のデボラも素敵ですね。
ただ、時代を描き過ぎたように思います。先に挙げた「恐怖」は勿論、主人公とハンプトンの繋がりの強さ、そして繋がりよって感じられる苦悩・・・それらの描きが足りないように感じられ、その分だけ面白みを感じることが出来ませんでした。
私的評価は標準です。
黒人差別問題系
彼もまた犠牲者なのか…
物凄く胸糞悪い。。片や99発の発砲で、片や1発のみ。寝込みを無差別に襲ったのだから当然。これが国家権力のすることなのだろうか。ブラックパンサー側の犯罪などはあまり描いていないがこれはれっきとした殺人だ。しかもフレッドはまだ21歳の若さだったとは。殺してまでFBIが恐れるほど、彼の群衆を動かすカリスマ性は強大で脅威だったのだろう。内通者ビルがその後も裏切り続けたことが胸糞悪いが彼もまたFBIに脅され、自殺するまでになった犠牲者だったのか。やはり憎しみは負の連鎖しか生み出さない。ラスト10分で一気に感情を揺さぶられ、何とも言えない気持ちにさせる。
Mama, take this badge off of me…。 ユダは銀貨30枚と引き換えにイリノイのイエスを売れるか?
FBIによりフレッド・ハンプトン率いるブラックパンサー党へと送り込まれた内通者、ビル・オニールの葛藤を描いた、実話を基にしたポリティカル・サスペンス。
第93回 アカデミー賞において、歌曲賞と助演男優賞(ダニエル・カルーヤ)を受賞❗️
第78回 ゴールデン・グローブ賞において、助演男優賞を受賞!
第26回 放送映画批評家協会賞において、助演男優賞を受賞!
第74回 英国アカデミー賞において、助演男優賞を受賞!
2020年度の賞レースを大いに賑わせた作品でありながら、日本ではビデオスルーという扱いを受ける不遇の作品。
「ブラックパンサー党」とか「公民権運動」とか、日本だと馴染みのない世界の物語ではあるが、作品自体はかなりストレートなエンタメ作品であり、ぼんやりとした歴史感覚さえあれば日本人でも普通に楽しめる映画だと思う。
この作品を端的に言ってしまえば、ブラック版『グッドフェローズ』。
実話を基にしているという点や物語の顛末など、かなり『グッドフェローズ』に近いものがあるし、作品全体のトーンも似ている。
多分『グッドフェローズ』が本作の下敷きになっているんだろう。
FBIとブラックパンサー党の抗争はほとんどギャング映画の世界。
これに、かの有名なイスカリオテのユダによる裏切りという要素をブレンドすれば本作の出来上がりである。
黒人たちが直面する苦境の原因は資本主義というシステムにあると考えるブラックパンサー党は、それに対抗するために社会主義を標榜し、貧しき民衆を人種という垣根を超えて結集させることで革命をなし遂げようとしている。
その中心にいるのが、圧倒的な演説力を持つ若きカリスマ、フレッド・トンプソン。
彼の力により、白人中心の組織ヤングパトリオットや、プエルトリコ系中心の組織ヤングローズ、反目する黒人組織クラウンズなどが集結し「虹の連合」が結成される。
日に日に影響力を増してゆくフレッドを恐れたのが、あの悪名高い初代FBI長官フーヴァー。
容赦のない攻撃でブラックパンサー党を締め付け、ついにはフレッドの暗殺計画を企てる。
ブラックパンサー党とFBI、二つの組織の板挟みに合うのが本作の主人公ビル・オニール。
ヤクザに借りを作ると後が怖い、とはよく言いますが、FBIに借りを作ってしまうともはや待っているのは地獄への片道切符。
どんどん精神的に追い詰められていくビルの姿には、自業自得とは言え同情せずにはいられません。
ただ、ビルの描き込みが不足しているように感じてしまうのが本作の弱点。
ビルとフレッドの距離が縮まる過程を、ほぼ丸々すっ飛ばしてしまっており、ビルがどうやって党の幹部みたいな立場にまでのしあがったのかがよくわからない。
また、ビルがフレッドの魅力に惹きつけられている、という描写が薄いため、彼の葛藤がただ自分の保身のために出てくるものなのか、それとも友を裏切ることへの良心の呵責なのかが、いまいちわかりづらい。
どうせなら、どっちかに振り切って欲しかった。
ビルの背後にいるFBI捜査官ロイ・ミッチェル。
彼はブラックパンサー党を危険だと信じ込んでいるが、同時にKKKについても批判的な見解を持っている、本作の中に出てくる警官の中では比較的リベラルで良識的な人間として描かれている。
彼の葛藤も本作の一つの重要なファクターになり得たと思うのだが、そこはちょこっとだけ触れるのみ。
そのため、いまいちロイというキャラクター像が掴みにくかった。
各賞レースで助演男優賞を獲得しまくった、フレッド・トンプソンを演じたダニエル・カルーヤの名演は見事👏✨
「ナメクジに塩を売ることだって出来る」と評される彼の演説はまるで炎のように情熱的、かつ知的。あんな演説を聞けばブラックパンサー党に入党したくなるわ。
フレッド・トンプソンとビル・オニールについて、本作を観るまで全く知らなかったし、ブラックパンサー党についてもMCUの『ブラックパンサー』の元ネタであることしか知らなかったため、凄く勉強になる一作だった(余談だが『ブラックパンサー』の監督、ライアン・クーグラーは本作の製作に携わっていたりする)。
ジョン・レノンが「毛沢東の写真をポッケに入れているような奴が、革命なんて起こせる訳ねーだろ」と歌っていたことの意味がわかった。
トンプソンは暗殺、ビルはユダと同じように自殺という道を辿る。革命には血が伴うのが常とはいえ、全く救われない物語だわな…。
BLMについての理解が深まること間違いなしの一本。
ブラックパンサー党の理念やビルやフレッドの一生について学び考えることは、我々日本人にとっても有益なことに違いないし、何より普通にギャング映画として面白いので、多くの人に観てほしい隠れた(というより隠された)良作。
傍観者に告ぐ
ツールが必要と喚くフレッド。立ち去る聴衆。冒頭のシーンはブラックパンサーに対する我々の先入観に応えている。しかし、教えを説きRainbow Coalitionを構築するにつれ、ビルと共に心が寄せられる。ダニエル・カルーヤによって吹き込まれるフレッド復帰の演説に沸き、ビルの崩れる表情に揺れる。
悪役である捜査官も単純でない。赤ん坊を抱えながら書斎に招き、葉巻を共に吸い馳走する。単なる仕事上の扱いを超えている。フーバーににじり寄られたときの間合いの取り方。そして組織の闇に侵食され、軽々と一線を超えていく。
2人の奇妙な寄り合いが、互いの弱さを増長しあって、悲劇が生み出される。他人にはわからぬこと。実話ベースにありがちの実映像や後日談。しかし、ここまでこっちに目がけてドスンとくるものもない。自分のことを棚にあげて、レッテル貼りに忙しいか?
音楽やカメラワークも見どころ多し。ジェンダー意識も何気に織り込む。政治的なテーマ設定に伝える事実の重要性を背景に、人間ドラマを描ききる。文句なしの傑作。
指令と信念
今年のアカデミー賞で作品賞にノミネートされ、助演男優賞(ダニエル・カルーヤ)と歌曲賞を受賞したのにも関わらず、日本劇場未公開。
まあ、無理もない。
ブラックパンサー党? MCUヒーローですか?
フレッド・ハンプトン? 誰?
日本人には分かり難い作品の典型。
とは言え映画なので、ストーリーはあり、時代背景は説明してくれる。
1968年のシカゴ。黒人青年のウィリアム・オニールはFBIに成り済まして車を盗もうとして、逮捕。そんな彼に、FBI捜査官のミッチェルが取引を持ち掛ける。それは、ブラックパンサー党イリノイ州副議長フレッド・ハンプトンの動向を探る事だった…。
パッケージはB級チックなサスペンス・スリラーだけど、
1960年代後半~1970年代に黒人の人権と解放の為に闘ったブラックパンサー党。
その重要人物の一人、フレッド・ハンプトン。
彼が暗殺されるまで。
実話を基に描く。
カリスマ性に溢れたハンプトン。
それを体現したダニエル・カルーヤ。
存在感や演説シーンは熱い。
『ゲット・アウト』で注目され、一気に売れっ子へ。
今回の賞レースでも前哨戦はほとんどノーマークだったが、突如浮上し、勢いそのまま受賞へ。
まさしく今、キャリア絶好調!
カルーヤの土壇場ではなく、オニール役のラキース・スタンフィールドも良かった。
FBIのスパイとして、ハンプトンに近付く事に成功。彼に気に入られる。
するとオニールも、カリスマ的なハンプトンに魅せられていく。
彼の信念か、スパイ指令か。オニールが選んだのは…。
スタンフィールドこそオスカー超サプライズノミネートと言われたが、複雑で葛藤する役柄を印象深く演じ、非常に旨味があった。
マルコムXに続いてキング牧師も暗殺。
差別、偏見、時には暴力に殺人…この時代は黒人たちにとって苦難の時代。
そんな時に立ち上がったブラックパンサー党。
黒人や貧困層の自衛や解放の為に!
が、過激組織。武装も厭わない。
警察やFBIがマークするのも無理はない。
が、そんな警察は応戦。立場を保身。昔も今も変わらない。
ブラックパンサー党は彼ら自身や多くの黒人たちの為に。
警察やFBIは人々や治安の為に。
それぞれに信念がある。正義がある。守るものがある。間違った事もある。
善悪。白と黒。そんなんじゃ割り切れない。
実録映像も挿入。
社会派作品だが、襲撃シーンなどの緊迫感はサスペンス映画かアクション映画を見ているよう。
そして、劇中のハンプトンさながら強く闘うメッセージ…。
革命は殺せない。
紛うことなき一級の作品。
だけど、ここまで言っておきながら、自分にはちょっとハマらなかったかな…。
今まで聞いた聞いた事あったけどよくは知らなかったブラックパンサー党について、フレッド・ハンプトンという人物とその事件を知り、我々が忘れてはならない事、伝え続けていかなければならない事さえでも知れただけでも…。
革命は殺せない
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