「コナン・ドイルではなくて横溝正史。シャーロックではなく金田一耕助だった。」バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
コナン・ドイルではなくて横溝正史。シャーロックではなく金田一耕助だった。
原案はコナン・ドイルのシャーロック・ホームズの作品の中でも
名作の誉れの高い「パスカヴィル家の犬」。
テイストは「八つ墓村」or「犬神家の一族」だった。
「八つ墓村」の骨肉の財産争い、そして「犬神家の一族」の
息子が入れ替わる話がヒントになっていると思われる。
ディーン・フジオカの演じる犯罪捜査コンサルタント・誉獅子雄は、
石坂浩二や古谷一行の演じた金田一耕助にそっくり。
まず衣装や髪型、雰囲気が似ている。
モジャ毛ヘアにダラシなくボロ布をまとっているような感じ。
「シャーロック・ホームズ」を読んでたであろう横溝正史。
成る程、何の違和感もなくサクサク見れる筈です。
それでワトソン役の精神科医・若宮(岩田剛典)はなんとなく
癒し系でした。
「パスカヴィル家の犬」
題名は横文字だが中味は縦文字って感じ。
実際には「蓮壁家(はすかべ家)の犬」ですもね。
若宮がリモートで蓮壁千鶴男(西村まさ彦)の依頼を受けてる最中に、
千鶴男が変死する。
依頼内容は娘の紅(新木優子)が誘拐されて身代金を要求された件。
千鶴男の変死を受けて獅子雄と若宮は急遽離島へ向かう。
それが資産家殺人事件=骨肉の悲劇の幕開けでした。
犬は重要なキャストで、狂犬病菌とやら、
長男の村上虹郎が薬学部なので・・・菌の入手も簡単・・・
とか、靴中にミミズの匂いを染み込ませて、
蓮壁家当主・蓮壁千鶴男(西村雅彦)の足に噛み付く。
などと、千鶴男の死因はどうも犬絡みらしい。
あと墓地に狛犬みたいな犬が大写しになったり、
うなり声、光る目など不気味だが無理クリ感あり。
もう一つ気になったのは、BGMの音量が大きさ。
喜怒哀楽、つまり音楽が感情を鼓舞すると言うか、
ここでは「怖がるんですよ」
ここでは「危険なことが起こります」
全てをBGMが先行して見るものをミスリードする。
音楽があまりに煽るので役者は演技をする必要がほとんどない。
ストーリーの大半を音楽が語る映画って、なんだろう!!
音楽に先を越されると感興を削がれますね。
脚本家の東村狭さんは横溝正史のファンなのは間違いないでしょう。
映画はテレビドラマ「シャーロック」の劇場版。
テレビドラマは未見です。
118分を飽きさせずに見せるため知恵を絞ったのは
分かります。
瀬戸内海の孤島の霞島。
岬の中腹にそそり立つ洋館。
車椅子の当主の美しき妻・依羅(稲森いずみ)
依羅とそりの合わない娘・紅(新木優子)
謎のリフォーム業者・朗子(広末涼子)
紅には出生の秘密があり、
この事件がこのミステリーの最大のポイント。
身が凍るほどの恐怖、
ストーリーの先へ先へと興奮して身を乗り出すほどの結末、
そのどれもありませんでした。
普通です。
面白さも恐怖も喜びも悲しみも同情も。
締め付けられるような共感とかも、なかったです。
中庸・普通・平均点。
そんな映画でした。
美女が3人。
新木優子、広末涼子、稲森いずみ。
宿命に運命を狂わされる女。
ファムファタールには到底見えない3人。
(悲劇を演じる女優を最近見かけないですね)
広末涼子に悪役とか無理。
蓮壁家当主・西村まさ彦にもカリスマ性は皆無。
「遺影」の古畑任三郎ポーズ?!
(笑いをとるつもりだった?)
ディーン・フジオカ、
岩田剛典、
佐々木蔵之介。
3人の男性陣にも特に見せ場がある訳ではない。
それにしても曲者俳優・村上虹郎の退席も早過ぎた。
執事役の椎名桔平は手堅い存在感で良かったけれど、
圧倒的な何かが欠けている映画。
天災に丸投げのラスト。
苦笑いでしたけど、安易ですね。
都合よく天災は起きないと思うけど。
こんにちは!
フォロー&共感、コメントありがとうございます。
語彙力のないレビューばかりですがフォローしてくださってありがとうございます。
長い間使ってる名前にも反応くださり嬉しいです