ラターシャに捧ぐ 記憶で綴る15年の生涯のレビュー・感想・評価
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ラターシャ・ハーリンズ
2021年5月27日
映画 #ラターシャに捧ぐ~記憶で綴る15年の生涯~ (2019年)鑑賞
#アカデミー賞 #短編ドキュメンタリー映画賞 ノミネート作品
1992年の #ロサンゼルス暴動 のきっかけとなった、韓国系アメリカ人によるアフリカ系アメリカ人少女銃撃事件について、友人等のコメントを集めた作品
【”1ドル79セントのオレンジジュースを買おうとしただけだったのに・・”僅か15歳で命と夢を絶たれた少女・・。有色人種への謂れなき暴行が止まない現代アメリカに、強烈な警句を発信するドキュメンタリー。】
ー いつになったら、このような悲劇は無くなるのだろう・・。大きな夢を持っていた少女の無念さ・・。ー
◆”思い遣り、分かち合い、他人への礼儀”故、ラターシャ・ハーリングが友人に言っていた言葉だ。
そして、母亡き彼女は祖母に育てられ、弁護士を目指して勉強していた事が、親友から語られる。
成績はオールA。彼女には、輝く未来があった筈だ。
友人が苛められている時に、助けに入る義侠心。バスケをギャングの男の子たちと楽しんだというラターシャ。
彼女が、行きつけの”万引きに悩まされていた韓国系アメリカ人が経営する雑貨屋で、”万引き”と女店主に疑われた際に、激しい怒りを示したという事は、上記のラターシャの性格から、容易に想像ができる。
そして、彼女は女店主により、1991年3月16日 後頭部を銃撃され、死亡した・・。
<この30年前の悲劇に、近年焦点が当たったのは、当時の女店主に対する量刑が異常に低かった事。そして、近年でも多発する人種差別が背景にある有色人種への謂れなき暴力があるのだろう。
故、ラターシャ・ハーリングが口にしていた”思い遣り、分かち合い、他人への礼儀”という当たり前の事を全ての人間が、意識し、行動する社会はいつになったらやってくるのであろうか?>
たった1ドル79セントの犠牲に
ロス暴動。
アメリカで1992年4月末から5月頭に掛けて起きた大規模な人種間暴動。
事の発端はスピード違反の黒人男性に白人警官が暴行を加えたものらしいが、単なる黒人/白人に留まらず、多くの人種を巻き込んだ暴動になったという。
…その約1年前、火種とも言うべき小さな、悲劇的な事件があった。
“ラターシャ・ハーリンズ事件”。
従姉妹シャイニー・ハーリンズと親友タイビー・オバードが彼女について“語った”ドキュメンタリー。
そう、ラターシャは死んだ。
1991年3月16日に。
普通の女の子だった。
…いや、タイビーに言わせれば、輝くような女の子だった。
気軽に話し掛けてくれ、友達になってくれた。
利発的で、夢や希望にも満ち溢れていた。
もし生きていたら、どんな素敵な女性になっていただろう…?
その日ラターシャは、たまたま買い物を頼まれた。飲み物を買いに。
手には2ドルを持って。
近くの商店へ。
1ドル79セントの飲み物を選ぶ。
…そして、ラターシャは死んだ。
店主に殺された。
万引きされると思って。
黒人だから。
1ドル79セントより軽い黒人少女の命…。
その後の裁判も不条理。
30年経っても、アメリカは同じ過ちを繰り返し続ける。
一体、いつまで繰り返し続けるのか…?
この世から、人種差別は無くならないのか…?
“ラターシャ・ハーリンズ事件”はその悲劇性から人種問題の象徴として取り上げられたり、度々映画などの題材になったりするという。
本年度アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品。
受賞は間違いないだろう。
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