「プロットはガタガタ…だけどキャストで補う感じ」幕が下りたら会いましょう たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
プロットはガタガタ…だけどキャストで補う感じ
タイトルからして終結に向けて物語は走る。それもあってか、道草をしながら続いているような感覚があって少しもの足りず。
単純に風呂敷を広げすぎて収集がつかなくなったと思うのが、最初に出てきた感想。妹の死の背景、腹違いだったこと、パワハラ…。要素を取り込みすぎたせいで、お粗末なことに。劇中の作品は面白かったけど、もう1本はモロに載せすぎて胡散臭くなっているし、なんだか…。挿入歌も割とノイズだった。
そんなに言うのにこのスコアなのはなぜなのか。それはやはり松井玲奈の深化を感じたから。『笑う招き猫』や「海月姫」、「エール」と作品を横断的に積み重ねてきたキャリアが華開いている。よって、凄く厚みがあって見応えがあった。また、日高七海も受けが上手で引き込まれる。タバコを吸う時の佇まい、必ずブラックコーヒーを差し出す気遣いといった所作に繊細さを感じる。
キャストが引き上げてくれただけに、作品としてのカラーを出し切ってほしかった。あれこれ詰め込むより、ピシッとメッセージを意識して帰結する方が、芯が強かったのではないかと思う。
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