「【アンナ・カレーニナ】」幕が下りたら会いましょう ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【アンナ・カレーニナ】
最近、NHK・Eテレの100分de名著がドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を取り上げて、映画では半世紀ぶりにドストエフスキー原作のブレッソン監督「やさしい女」がリバイバル上映され、映画「ドライブ・マイ・カー」ではチェーホフが引用され、そして、今回は、アンナ・カレーニナかと......。
思いのほか、ロシア文学が続くなと思った。
それに、僕は、ずいぶん前になるが、チェーホフ原作「桜の園」をベースにした「24番地の桜の園」という舞台を観たことがあって、それに松井玲奈さんが出ていたことを思い出した。
映画の中でも触れられるが、アンナ・カレーニナは列車に飛び込んで亡くなるが、この映画で使用される「葡萄畑のアンナ・カレーニナ」では、アンナ・カレーニナは葡萄畑で踊りながら息絶えるらしい。
トルストイの「アンナ・カレーニナ」を読んだことがある人は、知っていると思うが、アンナ・カレーニナには、本当にいろんなことが起きる。説明が難しいほど、いろんなことがだ。
僕だったら、途中で何とかなっちゃう気がするほどだ。
この映画作品の麻奈美の妹・尚もそうだ。自分の書いた作品が利用され、自分は行き場を失い、上京して、酒に酔って、ひとり亡くなってしまう。ある意味、アンナ・カレーニナなのだ。
だが、この物語は、尚・アンナ・カレーニナの物語ではなく、麻奈美の物語だ。
残されたものが、どう生きるのか。
決して逃れられないものがある。
決して忘れ去ることが出来ないものがある。
どう向き合うのか。
エンドロール後の、ラーメンをすする場面の涙が印象的だ。
舞台挨拶の上映回だった。
監督が、これほどじゃなくても、多かれ少なかれ人には共感できることはあるんじゃないか。そうしたことも併せて感じてほしいと言っていた。
チェーホフの作品がそうであるように、アンナ・カレーニナの物語は、残された人々がどう感じ、どう生きるのか想像する物語であっても良いのかもしれない。
※ ところで、僕は、長らく、松井玲奈さんが、アイドルグループで歌い踊っていたことは知らなかった。彼女を知ったのは、厚木市のコインランドリーを舞台にしたドラマに主演していたことがきっかけで、主題歌の「シャボン」をチャランポランタンと歌っていて、僕は、これをダウンロードしている。この映画と雰囲気は全く違ってかわいらしい感じで、いつかまた観てみたいなあと思っている。
※※ 監督、キレいな人だった。じっと見てしまった笑。すみません、下世話で……。