劇場公開日 2022年1月21日

「誰も死なない戦争」真夜中乙女戦争 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0誰も死なない戦争

2022年1月25日
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鑑賞方法:映画館

難しい

原作は未読です。
◉物憂げな生の価値
死を越えるだけの価値ある生はあるのかと、永瀬廉演じる主人公は、観る者にナイフを突きつけてきたのだが、その青年の憂鬱が凄すぎて、刃がその中に隠れてしまったと言うのが、正直な感想です。

作品の主題は、生の意味は考えるほど、想うほど分からなくなる……で良かったのではないかと思います。考える苦悩や、想う苦しみをたっぷりと。

あるいは本人の虚無感に関わらず、いつの間にか繰り返される生に押し潰されて、壊す力や、死へ向かう力も消え失せたと言う結末でも、作品としての納得は得られたかも知れません。
あんなに謎めいて、可憐で豊満な先輩が登場したので、そんな心変わりの筋書きも想像したのですが。

◉終わりの後の物語
この物語の終わりはただの終末ではなくて、と格好つけたまま、実際は騒ぐほどじゃないエンディングが待っていただけでした。
花火のように優しい爆発がしばらく続き、多分全員が生き残る若者たちに、崩壊の後の物語は用意されていたのでしょうか?

主人公の若者も、疲れただけだったかも知れません。傷んだ我が心を愛おしむように、黒服に口づけをした。目に見えて命を失くしたのは黒服のみ。不思議で何を始めるか分からない危機感は素敵でしたが。
彼は主人公の心の闇の表象だったとしておきましょう。

Uさん