「登場人物から忘れられる管理人が只々不憫(一から十までネタバレあり」あなたの番です 劇場版 よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物から忘れられる管理人が只々不憫(一から十までネタバレあり
ドラマ版は話題になったシーンとか犯人は知ってる程度の知識。
引っ越してきてから最初の住民会議で田中圭さんの一言がきっかけで交換殺人が起きずにパラレルワールドに突入するという設定。
【良かったところ】
・ドラマファンに対してのサービス精神。
ファンに刺さるかどうかは別にして、ドラマ版のパラレルワールドというところであえて似せてるところや崩してるところがあり、パラレルワールド作品の楽しさを表現していた。
例えば、ドラマ版から踏襲しているところとしては最初に死ぬのは管理人さん。
崩してるところとしては二階堂がバディを組むのが翔太ではなく菜奈になってるところ。
そして、今作最大のご趣向がドラマ版では犯人だった黒島が殺害されるところ。ここら辺はパラレルワールド物としてはベタながらサービス精神溢れる展開で良かったと思う。
・死体の見せ方
死体の見せ方がうまい。
管理人さんの殺害シーンや火だるまの男が追っかけてくるところ、黒島が某タイタニックのポーズのように船の柱にくくりつけられてるなどエンタメ性にとんだ見せ方になってる。
【悪いところ】
・謎解き、事件の真相等々後半の展開の雑さ
まぁこれはドラマ版でもそうだったんだけれども、伏線を張るだけ張って回収しないのが多すぎる。
そもそも管理人さんを殺害した犯人が誰なのかはっきりとわからないのも非常にもやもや。
後でネットを調べると一応考察できるように伏線はあったそうだが、僕みたいな馬鹿な視聴者にもわかるように一応映画の中で解説してほしいなとは思うし、何より全て解かないと事件物として締まりが悪い。
船の中で解決しないにしても、下船後マンションの住人のみんなが「管理人さんなんで死んだんだろうね?」みたいな会話が一つもないのは非常に不自然に感じる。
いくら嫌われていたとはいえ、あんな衝撃的な死に方をした自分に関わりがあった管理人さんの死をなんとなくうやむやで済まされるだろうか。
刑事も元々は管理人殺害事件を調べるために来たのに別の殺人事件の犯人だけを捕まえて帰ってしまうとは本末転倒にも程がある。(黒島殺害事件の犯人が管理人を殺害できないのは僕でもわかった)
・なんか無理やり感動させようとしてきた所
黒島殺害事件の真相がなかなかに気持ち悪い。
また殺人衝動を抑えられないかもしれないという不安から私を殺してと志願してくる黒島も気持ち悪いし
黒島に殺人衝動を抑えられるのか?とか散々煽った挙句、黒島の求めに応じて首を絞めてなんか「愛してたんだ」的なスタンスを取る犯人も気持ち悪いし
何より1番気持ち悪いのはこの殺害シーンに感動的なBGMをつけるスタッフ。
どう考えても異常な考えを持った人間同士が繰り広げるわけわかんない真相なのにまるで普遍的な愛の物語かのような演出をつけるのは本当に怖い。
出演者の演技を楽しめるような名場面も余裕も無く、出演した人全員が損してるような映画。
特に菜奈ちゃんが混乱して翔太を打つところなんか無理やりすぎて演者の戸惑いというかやりにくさが伝わってくるようだった。
後なんで黒島は自ら殺されに行ったのに蛍光液的なやつをつけていったんだろう??もし普段から防犯用のために付けてたのならドアノブを握った時とかに剥がれてあんな綺麗に残らないと思うが。
広げた風呂敷は綺麗に畳むようにお願いしたい。
ドラマファンの方は楽しめるかもしれないし幻滅するかもしれない