「本能と独自の美意識で時代を乗り回してきた女帝」ココ・シャネル 時代と闘った女 スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
本能と独自の美意識で時代を乗り回してきた女帝
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因習に囚われないモードファッションと香水「No.5」で一世を風靡し、今なお語り継がれる逸話と名言。
本作はココ・シャネルの生涯を新たに発見された事実と数々の証言を元に改めて振り返る「戦記」である。
彼女は元来抱いていた「世界」に対する違和感にファッションという形で対抗し、数々の「戦い」の中、ついに渇望していた自由と富を勝ち取る。
それは世の女性を因習から解放し、新時代をつくる契機となる。
「コルセットなど、女優や娼婦に身につけさせるものだ」と言い放つ様は特に印象的で、当時としては実に怖い者知らずな発言だ。
伝統はもちろん、未来にさえ牙を剥き続け、
孤独よりも退屈を恐れる生き様は毀誉褒貶あるものの、私はその姿勢に憧れに近い感情を抱いた。
晩年、次の次元たる「死」が楽しみだとインタビューで語っている。
もしかしたら、死してなお、かつて自身の「コレクション」を遠くから眺めていた時のように、私たち次世代がどう着飾り、どう時代を闊歩しているのか退屈しのぎに覗きに来ているかもしれない。自分のことしか興味のないように見える人だったとしても。
寵愛を受けながらも、自立を求め、生涯を
譲れないスタイルで戦い続けた伝説の女帝の存在は、迷える我々「未来人」にとっての指針であり、乗り越えるべき壁なのかもしれない。
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