劇場公開日 2021年5月28日

「デビッドバーンすごいのね?見事なショウ!」アメリカン・ユートピア バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0デビッドバーンすごいのね?見事なショウ!

2021年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本にいながら海外のショウを観られるのは
大変ありがたいことです。
大画面で大音量で。
(そりゃ、現地で観られたら最高だけど)
とにかく、素晴らしかった。

トーキング・ヘッズもデヴィッド・バーンも
マトモに聴いてこなかった僕としては、
本作品をどこまで楽しめるか?は不安でした。
THE 杞憂 。関係ないっす。
めちゃくちゃ楽しかった。

この構成やステージングはデヴィッド・バーンが
考えたものでしょうかね?
本人が言ってたからきっとそうなのだと思い
ますが、まぁよくぞ考えましたね。
これを機会に「ストップ・メイキング・センス」の
動画をちょっと観てみました。なるほど、そうか。
そもそもアーティスティックなライブを
やる方なんですね。
さらにそこに「魅て楽しむ」をさらに強力にして
一貫した統一感を打ち出したものですよね、
このショウは。

しつこいようですみませんが、素晴らしい!

最近じゃ聞かなくなった「トータルアルバム」、
一つのテーマで統一されたアルバム。
ショーの元となってるアルバムは未聴ですが、
まさにこのショウはそれであると思います。
>これでいいんだっけ?
>これはおかしくないか?
>動かなくては!
なんとまぁメッセージが強いです。
スパイク・リー監督ということもあり、
スタイリッシュにえぐってきますよ。

ただメッセージソングが並んでいるって
いうことではありません。ショウとしての
曲構成は見事かつライブとしての
高揚感も十分にある形になってます。
さらにステージングの演出も一役買います。
観たことがある方は思うのではないでしょうか?
マーチングバンドみたいなんです。
<オレンジの悪魔 京都橘高校吹奏楽部>を
初めて観たときのワクワクにも似た高揚感で
満たされ、その素晴らしいパフォーマンスと演奏に
心奪われます。かっこいい、かっこいい!!!
楽曲の素晴らしさは言うに及ばず。

パフォーマー達の練り上げられた技量、
綿密に計算された演出が・・・つまり人間達の力が、
人種も出身もジェンダーも関係なく集まった
人間達の力や想いが結実したからこそ
派手は仕掛けも装飾も一切削ぎ落とした
ミニマルでシンプルなステージをめちゃくちゃ
豊かで至福な空間にしてくれるのです。

シンプルなのに幸せな時間を与えてくれる
このステージは現代社会のアンチテーゼなのかも
しれません。物質社会、無限の欲求社会への。
また、個の力をどうか肯定してほしいという
メッセージなのかもしれません。
できるよー!僕たちはできるんだよー!って。

と思ったことをぐちゃぐちゃ書きましたが
あれこれ考えずに楽しむべきです、本作品。
この不思議なステージングの魅力を余すところなく
映像化したスパイク・リーの手腕も見事です。
素晴らしいライヴパフォーマンス映画です。

必見!!!傑作です!!!

バリカタ