鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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「君のことを忘れないよ!」
熱烈なファン、ではないかもしれない…… けれど。
1968年の“白黒アニメ”「ゲゲゲの鬼太郎」をリアルタイムで観た世代。
漫画「墓場の鬼太郎」も(いつの間にか)全部読んでいる。
子供だったけど、陰影の強い鬼太郎の世界と、自分のいた世界がなぜか重なってすごく魅かれた。(今も)魅かれている。
『「ゲゲゲの鬼太郎」のファンです』などとわざわざ言わないけど、鬼太郎のいる世界は、(まさに“幽霊族”のように)空気のように、いつも♪どこかで、下駄の音♪がしてといたと思う。している。
まず!
久しぶりに、鬼太郎のストーリーを観ることができたのが、なにより幸せな時間だった。
鬼太郎の父さんと母さんの物語。鬼太郎誕生の前日譚(タイトルの登場のタイミングがいい)。
物語は、確かに、犬神家だったりマトリックスだったり…、かもしれないけど……。水木ワールドを膨らませたストーリーは、「理不尽な戦時中の物語」、「依代(よりしろ)の物語」、「無念に亡くなった者たちの物語」等が絡み合っていた。
盛りだくさんだけど、そこが更に良かった点だと思う(幽霊よりも妖怪よりも一番怖いのは、欲で膨らんだ人間というのもね)。
『血桜』が美しかった。
最後の30分は、せつなくて、ずっと涙がこぼれていた。
エンドロールが最高。
ゲゲゲの鬼太郎の、言ってみれば最初の物語なのに、音楽は、静かにながれて余韻があって…。音楽も幽霊族にピッタリ。
聴くだけで、じわっと涙が出てきた(音楽は川井憲次さんなんですね。納得)。「なに、これ。なになに、この音楽」って。
そしてそして、一緒に映し出される水木しげる先生調の絵を観たら…(TVアニメも漫画もこの映画も)すべてが結びついて…
静かな衝撃だった。
また泣いた。………。
鬼太郎のお母さん。
今まで(決して美しくはない)幽霊のイメージしかなかった。でも、
この映画で、(生前?は)明るくて、綺麗な人だったとわかって、それが、なにより一番よかったこと。
お母さんが、血桜の根本で夫の耳もとで囁いたとき、聞こえなかったけどなにをささやいたか…すぐわかった。
それだけでも涙…でした。
映画を創った、関わった人達の「鬼太郎ワールド愛」がすごい映画だと思う。
取って付けた感
ミステリーとして話を進めるなら、また子供向けの作品でないなら尚更、もう少しお話の展開も構成も人物描写も丁寧に積み上げて欲しかったというのが率直な印象。
あの家族や村長(?)も、みんないろいろワケありで様子がおかしい割にちゃんと説明されなくて、欲しがってる「M」とやらも、(雑に説明されるけど)その製法も効能も、もう一つピンと来ない。あの島の意味や大穴、お屋敷と地下で繋がってるって話も。
最初、時貞翁が死んで、血液銀行に電話が入った場面。「血液銀行ってどんな銀行なのか・主人公はどんな仕事をしているのか」冒頭としては状況説明という意味でちゃんと描くべきシーンのはず。しかしデスクに大勢の社員が着いているものの、机上には作業中らしき書類も筆記用具も見られない。
「ははぁん。ちゃんとディテールを描く気がない系ね。」
序盤でそう思ってしまうと、全てを目を細めながら見る感じになっちゃう。
で、全体がボヤっとして掴みかねているおかげで、観客としては分かりやすくて善良そうな登場人物(沙代と時哉)に感情移入。作り手はその二人に「可哀想な役回り」を押し付けて、最後に主人公たちが「救い」を与える。主人公の手柄の為に登場人物が奉仕するという、すごく「雑」な話に見えてしまった。
基本的に主人公たちが直接戦う敵妖怪は「狂骨」になるんだけど、この妖怪って有名なの?ただただ相手に危害を加えるだけのモンスターってこと?妖怪ってそういうものじゃないって思ってたんだけど。
登場シーンから何の説明もなく、その上「これは只の狂骨ではないぞ」って。「只の狂骨」を知らんのよ。
「ゲゲゲの鬼太郎」は、第二期の再放送を見ていた世代の私。
まだまだ当時子供の私には怖いシーンばかりが印象に残る「苦手なアニメ」の部類だった。
その後、第三期以降の放送はかなりカジュアルでポップになったとは聞いていたけど、(年齢的にも)食指が動かなかった。結局私にとっての「ゲゲゲの鬼太郎」は、物語ではなくキャラクターの集合体として認識されている。
そういうこともあって、ラストに出てくるスタイリッシュでヒロイックな鬼太郎にも私は馴染みがなく、どうにも最後まで私は「外様」な感じでエンディングを迎えることになった。
最後に男の子を成仏させる的な、あの「感動風」やり取りは、個人的にすごく取って付けた感があって、悪い意味でこの映画全体を象徴するシーンに見えた。
高く評価されている方も多い様なので、私が乗り切れなかったんだと思うけどね。
原作の「鬼太郎の誕生」は読んでおくに越したことはない。 横溝や因習...
大人向けの鬼太郎
鬼滅の刃+呪術廻戦かよ
鬼太郎の洒脱な実父と最愛の実母の登場
鬼太郎には目玉おやじが居たので、
実父など考えたこともなかったが、
着流し姿に下駄が何ともかっこいい。
しかも父は強い!
実母も居たのだ!
父曰く、美しい!
人間にはとても優しいのだそうだ。
そうだとは、よくわからないのでそれは見てのお楽しみ…
鬼太郎誕生は、
水木先生の奥さんへの愛情と戦争への怨念が鬼太郎を誕生させたのだろう。
本来、強者が弱者を助けるのがあり前なのに、
政府や軍隊、政治家が庶民を甚振り苦しめる。
その最大の被害者が絶滅危惧種となった幽霊族のようだ。
それなのに鬼太郎の実母は人間族にも優しく、そんな優しさに父は惚れた。
故に生命を捨てて最愛の妻の存否の探索の旅に出たのだ。
何とも美しい話だ。
そして、愛妻が優しくした人間族に、
そう尊厳ある人間性を解放するために、
見えないものを見る開かれた心を取り戻すために水木も鬼太郎の父も母も一つになって、
鬼太郎が誕生した!
と言うのは私見です。
お粗末でした。
( ^ω^ )
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
漫画家・水木しげるの生誕100周年記念作品で、2018〜20年に放送されたテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期をベースに、
シリーズの原点である目玉おやじの過去と鬼太郎誕生にまつわる物語を描いた長編アニメーション。
昭和31年。
鬼太郎の父であるかつての目玉おやじは、行方不明の妻を捜して哭倉村へやって来る。
その村は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配していた。
血液銀行に勤める水木は、一族の当主の死の弔いを建前に密命を背負って村を訪れ、鬼太郎の父と出会う。
当主の後継をめぐって醜い争いが繰り広げられる中、
村の神社で一族の者が惨殺される事件が発生。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
声優陣には沢城みゆき、野沢雅子、古川登志夫らテレビアニメ第6期のキャストのほか、
鬼太郎の父を関俊彦、水木を木内秀信が演じる。
「劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!」の古賀豪が監督、
テレビアニメ「マクロスF」の吉野弘幸が脚本、
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の副監督・谷田部透湖がキャラクターデザインを担当。
ストーリーはそこそこ面白いが、色々と辻褄が合わない微妙な作品
鑑賞動機:水木先生10割
完全に大人向けだったので観て良かった。PG12だったと後から気づいたけど、グロテスク描写(も描写以外)も多々ありなので(いいぞもっとやれ)。
水木先生の飄々とした軽みが足りないのはやや不満。
ここまでアクションに力を入れているとは思わなかったので、嬉しい驚き。
エンドロールで原作につながっていて震えた。
来場者特典を今開けたんだけど…これはズルい…。
看板に偽り有り作品に偽り無し
そうそうコレコレ。
子連れファミリーも見かけたけど、鬼太郎ほぼ客寄せパンダな看板作品。
横座席のキッズ永久にポップコーン食ってたぞ、鬼太郎見に行こうーとかお母さんに連れて来られたんか、鬼太郎全然出て来なくてつまんないか?
方やおじさんは凄え面白いぞ。
例えばルパンとかあの5人出てくりゃ成立するじゃん、そこさえやってりゃ時代劇やっても、ラブロマンスやっても、政治批判やっても、コメディでも、反戦映画でも良い訳じゃん。
そう作家性。
描け描け、こう言う時は描け。
監督の、脚本家の、アニメーターのやりたいヤツぶっ込め!クライアントなんか騙しとけ。
かつて日活ロマンポルノがそうだったらしい、看板で客騙してお前が作りたいヤツ見せろ、それで喜ぶ俺みたいなん居るからさ。
アニメ映画としても邦画としても凄え面白かったよ、煙草ガンガン映画的演出に使うとかもう誰もビビってやって無いしカッコよかったよ。世界観は横溝みたいでびっくりしたけどw
これ鬼太郎の看板無かったら企画書でボツられてんじゃん絶対、こんな面白いのに。
でも作ったヤツ偉いな、水木作品と敬意払ってるの大人だなって感心したわ。
墓場のゲゲゲ
水木しげる先生の命日も近いこの時期に上映して下さり誠にありがとうございます。
ふとした事がきっかけとなり、自分の中では今年は鬼太郎ブームとなっていて、漫画やこれまでのアニメを見返している中での鑑賞でした。
イケメンの鬼太郎の親父と美人の母親が、最期はあのような結末に繋がるなど原作を見事に昇華して新たな鬼太郎の誕生秘話が生まれたこの映画は間違いなく歴代の鬼太郎アニメの上位にあたるものですね。
新たな悪魔くんのアニメも解禁となり、今年は水木しげる先生の100周年に相応しいイベントが盛り沢山でしたね。
これからも鬼太郎は世代を越えてずっと愛されてゆくのでしょうね。
普通に面白い
鬼太郎に込められた水木しげるの思い
想像以上にダークでヘヴィーなテイストに驚いた。
都会の人間が、閉ざされた秘境に足を踏み入れ、そこで得体の知れない何かを体験する。『ウィッカーマン』や『ミッドサマー』の系譜と同じく、哭倉村に足を踏み入れた水木が、村の奇祭・奇習を目にしたことによって運命を狂わされる。
さらに鬼太郎の父親が村にやってきたことによって、龍賀一族の秘密と幽霊族の因縁が解き明かされていく。
この物語を借りて、太平洋戦争中に行われた日本軍の愚行や、戦後のどさくさで軍の財産を横取りした将校たちの所業も語られる。指揮官のメンツのために玉砕的突撃を強いられ、奇跡的に生還して血液銀行に勤める水木は、戦争で片腕を失った水木しげるそのものであり、仲間を失ったトラウマに苛まれる。
おどろおどろしさだけではなく、龍賀一族に起きる連続殺人事件を追いかけるミステリーでもある。悲劇的な結末に向かっているとしか思えない運命に胸を締め付けられる。
今までにない、大人向けの鬼太郎でございました。
大の大人が戸惑うドロドロ加減・・・?
近年、何度も繰り返されたアニメのキャラクター改変で妖怪「猫娘」がツンデレ美少女化していった経緯くらいは追うものの(笑)、基本低年齢向けのアニメとしてほぼスルーしていた「アニメ ゲゲゲの鬼太郎」でした。
しかし、今作は映画館でみた予告編がなんとも気になる不気味さを醸し出していて、もしやこれは大人向けアニメとしていけるんじゃないか、と半信半疑で劇場に向かいましたが・・・予想的中、久々の「予告編のイメージそのままの良作」でございました。
ただ、おどろおどろしいのは跋扈する妖怪・・・じゃあなく、私利私欲にまみれた人間の所業っていうのが、本当に醜く、時に狂気に満ちてうまく表現されておりました。鬼太郎パパと親交のある妖怪が出てくるたび一息つけて癒されたくらい(笑)、人間の狂いようったらなかったですね。
また、最近のアニメの雰囲気に寄せた子供にも親和性のあるキャラデザを使いながら、設定、脚本が突き抜けて大人向け(多くは語らず)なので、その明らかなギャップの大きさにひどく狼狽してしまったというのが本音です。
確かレイティングはPG12だったような気がしますが、直接的な表現はないとはいえ、脚本、設定的にはR+15が妥当じゃないか・・・と近くに居た小学生の娘さんと観に来たお母さんを見て強く思いました。
ゲゲゲ好き、ドロドロ好きの大人さんにおすすめです!
"この鬼太郎、面白すぎる!…"な映画
普段は、アニメ映画作品は鑑賞の選択肢から外れているんですが、ポスター・ビジュアルに惹かれ、あらすじやら口コミを見て「面白そう…」と観てみることにしました(上映時間もちょうどタイミングが良かったのもありますが…)。
いやぁ、これ、当たり!でした笑
子どもの頃(1970年代)にTVで見ていたアニメほど怪奇要素はあまり強くは無いのですが、ミステリー要素が結構高めで、ちょっとした探偵小説でも読んでる?かのような最後まで目の離せない展開で、ラストまでしっかり見せてくれました。
人物描写もしっかり描かれており、十分大人の鑑賞にも耐えうる、というか、逆に子どもはあまり面白くないかも知れません笑…親子連れにはあまりオススメ出来ないかな…。
ホラー作品やミステリーが三度の飯よりも大好き!という方は、どうぞ!笑
『この国は今、虚構(フィクション)に侵食されている』
本当に偶然ですが、先月、京極夏彦さんの『虚実妖怪百物語 序破急』を読んだばかりだったのです。
(角川文庫版。約1400ページの大長編で、水木しげる大先生、荒俣宏先生他多数の実名登場でフィクションとリアルの戦いを描く壮大な妖怪大戦争。一人ひとりのキャラ設定が抜群に面白いのです)
妖怪も鬼ももともと〝ないもの〟だ。
実際には存在しない。現実ではない。
脳内にしかない。
つまり、フィクションなのだ。
その非存在が攻撃してくるなら、それは最大のリスクになる。
要するにフィクションがリアルを侵攻している。
プーチンの妄想もテロリストの理想もイスラエルの恐怖の拡大(による過剰な反撃)もすべては人間の脳内のフィクションから始まり、いつの間にか現実の地獄を産み出した。
水木先生の描く妖怪も、人間のフィクション(欲望、願望、野望…)がなければ、もともとは無害であったはずの非存在(質量もエネルギーも持たない)が、見えるようになると同時にリアルな害悪を為すものに姿を変える。
そんなことを思いながら見ると、とても深くて哀しくて切ない、奥行きのある作品でした。
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